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読売新聞より抜粋
岩手県奥州市立胆沢第一小学校で2010年2月頃、校舎の老朽化に伴う工事中に、児童たちに発症したシックスクール症候群。
2年半以上が経過し、現在も症状に苦しんでいる子どもたちへの理解が薄れている。今年7月の市議会だよりに、子どもたちが回復したかのような報告が掲載され、10月の紙面で回答を修正して掲載する事態となった。保護者らは「現状を知ってもらいたい」と強く訴える。
「現在はいずれの児童も快適な学習環境のもと、元気に活動しています」
7月の市議会だよりのコーナー「あれはどうなった」で、「あれから2年 シックスクール対策は」に対する市教委側の回答が掲載された。いまだに症状を抱える子どもの保護者らから異論が上がり、10月の紙面で、「定期的に治療を継続しています」と回答を差し替えて再掲載した。
シックスクール症候群を発症した子どもたちの苦しみは、2年半以上がたった今も続いている。
同市胆沢区に住む中学1年の女子生徒(13)は当時、同小の4年生だった。父親(44)によると、当初は同症候群と診断されたが、10年8月には化学物質過敏症も加わり、症状が悪化したため転校。その後、転校先の学校の協力を得て対策をとってきた。
中学に進学してからも、制汗剤や野焼きの煙などに接すると、強い頭痛や吐き気などを訴えている。症状が出ると早退し、酸素ボンベを付けるなどしながら、解毒のために病院で点滴をうつ。同級生と別の「避難教室」で授業を受け、体育や美術などは受けることができないという。
市教委学校教育課によると、当時は22人の児童が同症候群を発症。重症化した4人は、今も定期通院している。市教委は10年、発症の原因や対応策を検討する第三者委員会を設置するなどし、保護者と継続的に面会しながら空気清浄機の設置や別室での授業対応、休んだ子どもへの訪問指導などを行っているという。佐藤健司課長は「学習機会を保障するなど、最低限だが連携して対応している。子どもたちの負担がいくらかでも軽減できれば」と話す。
市議会だよりを巡る経緯について、市教委では、対策マニュアルを基に小学校で対策を講じ、快適な学習環境の確保に努力していることを説明しようとしたところ、編集委員会の段階で表現が一部削られ、「説明不足になった」としている。
しかし、子どもたちや保護者らの不満は募る。女子生徒の父親は、第三者委による被害児童や保護者への聞き取りなどは行われておらず、実情が伝わっていないことに憤りを感じている。空気清浄機の設置も、実現するまで何度も要望し、時間を要した。父親は「問題はまだ終わっていない。今も苦しんでいる子どもたちがいることをしっかり認識してほしい」と話している。
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