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産経新聞より
薬の知識を子供たちに身に付けさせようと、今年度から中学校3年生を対象に「薬教育」が実施されている。市町村単位では、小学校で自主的に薬教育を行っている所もあり、中でも熱心なのは大阪市。市が関連経費を予算化、薬剤師が薬の飲み方などをイラストや模型を使って教えている。
早い段階から学ぶ
医薬品に関する授業は従来、高校で行われていた。平成18年6月公布、21年6月施行の改正薬事法によって、コンビニエンスストアなどでも鎮痛剤や整腸剤などの一般医薬品の販売が可能となり、子供たちにも身近なものとなったため、義務教育で取り入れられることになった。20年に文部科学省が告示した学習指導要領に基づき、今年4月から中学校での授業が始まった。
大阪市は19年度から小学校6年生を対象に、保健の時間などを使って薬教育を実施している。改正薬事法で薬の飲み方などに関する正しい知識の普及推進が盛り込まれたことを受け、小さいうちから薬の知識を学ばせようと、市のモデル事業としてスタート。実施するかしないかは学校の自由だが、市生活衛生課によると、昨年度末までに市内299の市立小学校のうち、241校で薬剤師による授業が行われた。
「薬剤師ってどんなことをしているか知ってる?」「薬は体内をどうやってめぐるでしょうか」
大阪府薬剤師会の藤垣哲彦会長は生野区の小学校で6年生を対象に授業を行っている。プロジェクターを使いながら児童に質問。児童とやりとりしながら、錠剤やカプセルなど薬の種類、飲み方や飲む時間など基本的な事柄を中心に、「自然治癒力とは」「薬の働き」などを説明する。
薬の実験も行う。ビーカーに茶色のうがい薬とビタミンC飲料を入れて混ぜ、無色透明になるところを児童に見せながら、「薬とジュースを一緒に飲むと効き目がなくなることもあります」と警告すると、児童はびっくりした様子。「小学生のお子さんたちは興味を持って熱心に聞いてくれます。早い段階から薬について学ぶことは重要だと思います」と藤垣さん。
薬物乱用防止に
大阪市が小学校からの医薬品教育に熱心な背景には、薬物乱用防止につなげたいとの思いもある。
市生活衛生課は「小学生には薬物乱用に関する授業は難しいかもしれないが、身近な薬の正しい使用法を教えることで危険な薬物の存在や使用はいけないことを知ってほしい」と話す。小中高校と連携させ、薬物乱用防止に関する効果的な学習を進めるため、ワーキンググループを立ち上げ、検討を進めているという。
薬教育は、子供から大人に広がっている。同薬剤師会が小学校で行ったアンケートによると、大多数の児童が「学んだ内容を家族に話してあげたい」と回答。同薬剤師会は保護者向けの冊子も作成し配布しており、「家族で薬の適正な使用について話すきっかけになれば」と話している。
薬「水以外で飲む」7割
「くすりの適正使用協議会」(東京都中央区)が平成21年に小中学生の子供を持つ保護者600人を対象に行った調査によると、水・ぬるま湯以外で、薬を服用する割合は「よくある」「時々ある」を合わせて66.8%。このうち、お茶で飲むと答えた割合は52.1%と最も多く、スポーツドリンク(29.7%)、
コーヒー(16.7%)が続いた。
同会は「薬服用の基本が守られていない」と指摘。そのうえで、「水やぬるま湯以外の飲み物で服用するのは、吸収が遅くなったり、効き目が弱くなったりすることもあり、極力避けた方がいい」としている。
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