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産経新聞記事より
確認ミスの可能性 業過致死疑いも
東京都調布市の市立富士見台小学校で昨年12月、乳製品アレルギーがある5年生の女児(11)がチーズ入りの給食を食べ、アナフィラキシーショックで死亡した事故は、担任教諭の確認ミスが原因だった可能性が高まっている。同校では事故の3カ月前にも卵アレルギーの男児が、卵製品の給食を食べる事故があり問題となっていたが、その教訓は生かされなかった。市教育委員会は今月中にも事故の検証結果をまとめるが、警視庁は業務上過失致死容疑の可能性も視野に捜査している。
「余っているよ。食べる人いない?」
昨年12月20日の給食時間、担任の男性教諭は、給食の残り物をお盆に入れて教室を回っていた。お盆には、粉チーズが入った韓国風お好み焼き「じゃがチヂミ」。女児が手を挙げた。
「おかわりがほしい」
乳製品アレルギーがあるため、粉チーズ入りを食べられない女児。学校側は、チーズを除いたチヂミを特別に出しており、この担任は「大丈夫か?」と尋ねた。
しかし、女児は気にせず、粉チーズ入りを受け取り、食べてしまった。両親には「食べてはいけない食品」に線が引かれた献立表を持たされていたが、「じゃがチヂミ」には線が引かれていなかったのだ。
ただ、それは厳密なものではなかった。はじめに女児に出されたチヂミはあくまで特別で、「おかわり」には粉チーズが入っていた。学校側では別に、食べてはいけない食材に「×」印をつけた「除去食一覧表」を用意し、チヂミには「×」をつけていた。しかし、担任教諭は、その一覧表を確認せずにチヂミを渡してしまった。
約30分後、女児は「気持ちが悪い」と訴えた。担任はアレルギー症状の改善薬が入った注射を打とうとしたが、女児は嫌がった。校長の判断で注射を打ったときには、約10分が経過しており、もう間に合わなかった。女児は搬送先の病院で息を引き取った。
3カ月前にも
同校では、3カ月前にも食物アレルギーによる事故があった。9月27日、卵アレルギーがある1年生の男児が、オムレツを食べた直後にせき込み、鼻水を垂らした。このときは、異変を察した担任教諭が病院で点滴治療などを受けさせ、結果的に軽症だった。
男児は、自宅からオムレツに代わるおかずを持ってきていたが、調理担当者が誤ってオムレツを配ったようだった。男児の事故後、再発防止のため、学校側は全教員を対象にアレルギーの研修会を実施。その席には、死亡した女児の担任教諭も出席していた。
それなのに発生した女児の死亡事故。1月7日に開かれた保護者説明会では教員らの認識の甘さを非難する声が相次いだ。
「なぜ教訓が生かされなかったのか」
症状は千差万別
食物アレルギーを学校側に届けている児童、生徒の数は多い。調布市教委によると、今年度、小学校293人、中学校134人の計427人。アレルギーを発症して救急搬送されたのは昨年11月末現在、富士見台小1年の男児を含め3件だった。
子供の食物アレルギーに詳しい千葉大学大学院医学研究院の河野陽一教授(小児免疫)は「アレルギー症状は千差万別で、同じ児童、生徒でも症状が出るかどうかはその日の体調で異なる。地道な情報収集が欠かせない」と指摘する。
市教委は今年1月、食物アレルギーの専門医らによる検証委員会を設置。新年度からはアレルギー教育を実施することも検討する。
【用語解説】
アナフィラキシーショック
特定の食物や麻酔薬、ハチの毒などが体内に取り込まれた際に起きる急性のアレルギー反応。
全身の発疹や血圧低下、呼吸不全など複数の臓器に同時に症状が出るのが特徴で、重症になれば生死に関わるケースが多い。文科省の調査によると、平成16年時点で食物アレルギー疾患を持つ小中高生は、全体の2.6%にあたる約33万人で、アナフィラキシーは0.14%
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