シックライフ・シックハウス症候群・化学物質過敏症・アレルギーなどに関する事柄について事務局よりお届けいたします。
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福島民報より
福島県内の小学校はあす8日に入学式を迎える。福島県教育委員会によると、新1年生1万5376人(1月31日現在)が誕生するという。
初めて体験する学校給食では、基本的な食習慣を養うほか、友達と一緒に食べる食事の楽しさを味わってほしい。ただし、食物アレルギーを持つ児童がおり、学校給食が煩わしく、緊張を強いられる時間帯となることも忘れてはならない。
東京都内の小学5年の児童が給食を食べて亡くなる事故が昨年12月にあった。粉チーズによる乳アレルギー反応が原因だった。学校側は児童の乳アレルギーを把握していた。しかも、給食の献立表は保護者へ事前に配布されていたという。給食室では、乳アレルギー原因物質のチーズを除いたいわゆる「除去食」が調理され、児童に配膳[はいぜん]されていた。
学校側と保護者、児童も注意していたのにもかかわらず、事故を防ぐことができなかった。原因究明のため設置された検証委員会は調査結果を先月12日に取りまとめた。「初期の対応を誤るなど、教職員の情報共有が不十分で危機管理意識の欠如」と報告書は指摘した。児童がおかわりした普通食に粉チーズが使われていたことを担任は見逃した。食物アレルギーの児童がいることを知りながら、対処できなかった不完全な対応事例だ。
検証委員会は、給食アレルギー事故防止策と対応を盛り込んだ具体的な手引書(マニュアル)の作成を求めている。
福島県では会津若松市や郡山市教育委員会がマニュアルを作成していると聞く。学校での食に関する事故防止策として、県内統一した基準や手順、対応を定めたマニュアルが欲しい。転勤で移動した教員が前任校との手順の違いに戸惑うことも軽減されるだろう。東日本大震災で転入してきた食物アレルギーを持つ児童生徒や食事療法を医師から指示された保護者の学校への不安を解消する取り組みとなる。
近年、食物アレルギー体質の児童生徒は増加傾向にある。その症状は多様で、専門医の診断が欠かせない。特定の食物を摂取後に運動することで、じんましん、下痢、意識障害を引き起こすタイプをはじめ、メロンやキウイフルーツなどの果物を食べたときに主に口の中に症状が現れる特殊な型も知られている。対応マニュアルは毎年見直さなければならない。日頃の点検も必要となろう。
食物アレルギーの原因物質(アレルゲン)は卵、乳、小麦、エビ、カニ、ソバ、落花生の7品目である。調理中に他の食材からアレルゲンの微量混入を防ぐため、給食アレルギー専用調理室の設置や専任の学校栄養職員の配置を考えたい。
事故防止・対応マニュアルの制度設計を含め、作成作業は教職員の危機管理意識を強化する効果を生む。新年度を迎えるに当たり、関係者の意思の疎通を図り、事故のない安心した学級経営を期待する。
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