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家電Watchより
空気清浄機や室内空気に関する正しい情報の発信を目的とした有識者団体「室内空気向上委員会」は、18日、空気清浄機に関するセミナー「今の空気清浄機は、本当に空気を清浄にしているか?」を、報道関係者向けに開催。この中で、同委員会のメンバーである日本大学 理工学部 建築学科教授の池田耕一教授が、イオンやオゾンなどを放出し空気清浄を謳う機器に対し、否定的な見解を示した。
室内空気向上委員会は、空気清浄機における統一した性能評価の基準を標準化し、消費者の目で製品が選択できることを目的とした団体。委員会によると、近年インフルエンザの予防や花粉対策などで、消費者の空気に対する意識が著しく高まっているものの、各メーカーは独自の仕組みの空気清浄機を発売し、自主基準による調査結果を発表しているため、効果の違いや特徴などが理解しにくい状況にあるという。
今回のセミナーでは、池田教授が現在普及している空気清浄機の効果を説明。また、東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境システム学専攻の柳沢幸雄 特任教授が、空気清浄機の性能評価を標準化する狙いを述べた。
空気清浄機はあくまでフィルターで空気を濾過するもの。イオンやオゾンは“データなし”池田教授はまず、「空気清浄機」という製品の定義について、「本体内のフィルターにファンなどで空気を導き、空気を濾過して粉塵などを除去する装置。“粉塵濾過器”といった方が良い」と、あくまでフィルターを使って空気を濾過するものと規定した。
フィルターを搭載した一般的な空気清浄機は、粉塵の大小にかかわらず、空気をキレイにする効果があるという。
「フィルターを使ったタイプの効果はハッキリ出ている。スイッチをいれると、粒の大きさがどうあれ、あっという間に数が減っている。大きな粒子はあっという間に(地面に)落ちるが、ナノサイズになると、空気とおんなじ挙動をし、これを肺の中に取り入れるから具合が悪くなるので、空気清浄機は細かいものを捕らえる必要がある」(池田教授)
その一方で、活性炭を通すと空気中の化学物質が取れると謳ったり、“イオン”や“オゾン”を放出して空気中の微生物が死ぬ、ニオイが分解される、と説明された製品については「ほとんどデータがない」として、否定的な見解を示した。
「イオンやオゾンなどといったものの中には、空気中に飛んでいる菌や細菌、ウイルスなど微生物を殺すと謳われたものがある。確かにイオンが目的のものにうまく当たれば除去できるかもしれないが、部屋じゅうにたくさんいる微生物すべてに当てるほどイオンやオゾンを出すのであれば、人間も殺すことになる。でも人間が死なないということは、“効果がない”と考えるのが普通ではないか」(池田教授)
池田教授はさらに、空気中に酸素を付加する機器について「普通の環境でも息切れすることになる。どう考えても良いことは考えられない」と、危険性を訴えた。
「例えば酸素カプセルを使う場合、内部は酸素が高いだけで、カプセル内部に変な化学物質が発生しているかもしれない。酸素カプセルは、どうしても疲労を回復しないといけない際に、医者の監督下に使うなら意味はあるが、“癒し系”などエステ感覚で軽い気持ちで使うものではない」(池田教授)
空気清浄機に節電は“不要”。粉塵に含まれる放射性物質の除去には効果が期待
また、東日本大震災による電力不足で“節電”が叫ばれているが、空気清浄機に節電性を求めるのは意味がないとした。
「節電と空気洗浄は二律背反の関係にあるが、節電をすれば空気環境は悪くなる。どっちかを取るしか無いが、節電すれば空気環境は確実に悪くなり、身障者や新生児など、生活弱者に悪影響が出る。空気清浄機は大した電気ではないし、もっとそれ以上に電気を使っているところがある。そもそも、節電はピークの電力を抑えれば良いだけであって、空気清浄機を止めたくらいで、ピークの電気が下がることはない」
池田教授はまた、東京・世田谷で放射性物質のラジウムが発見された件に触れ、粉塵に付着した放射性物質の除去に、空気清浄機が期待できるとした。
「ラジウムは、ラドンやラジウムAというガスに変わり、最終的に鉛になるまでα線やβ線を出していくが、空気中でラジウムAに変わった際に、電気を帯び、空気中の粉塵にくっつきやすくなる。そのため、空気中に撒かれた粉塵が肺の中に入る可能性もある。α線は外部被曝の問題はないが、体内で内部被曝を食らうと非常に問題になる。
そういう点でフィルター付きの空気清浄機は、粉塵と一緒になって空気中で浮いている放射性物質を漉し取るできるため、粉塵による放射能汚染には有効。これがイオンや酸素の場合、まったく意味が無い」(池田教授)
布団を叩くと逆にダニが表面に出てくる
池田教授はまた、湿度によるウイルスとアレルゲンの関係性も紹介。インフルエンザウイスの場合、湿度が高いほど除去効果が高いが、カビ菌やダニは低いほど除去できるという。
また、布団のダニを除去する場合に布団を叩くと、綿の中のダニの死骸やフンが表面に出てくるため逆効果になるという。その一報で、丸洗いや掃除機掛けは効果があるとのこと。
「『ツメダニ』など(人体を)刺すタイプのダニは、数が少なく、室内にいたところでアレルゲンと関係ない。一方で、刺さないタイプの『チリダニ』は、死骸やフンがアレルゲンとなって、空気中に浮いているとアレルギー患者が反応を起こす。しかし、粉塵の一種でサイズは細かくは無いので、フィルターが付いている空気清浄機で簡単に除去できる。これにイオンやオゾンをぶつけることでうまく消えるのかは、データを出すまでもない。もし除去するのであれば、それなりのデータが出てしかるべきだと思われる」(池田教授)
消費者に比較できるデータを提供するためには、“同じ土俵での評価が必要”
池田教授と共に、同委員会の発起人となった東京大学の柳沢特任教授は、空気清浄機の性能評価基準を標準化する狙いについて、消費者に比較可能なデータを提供し、より望ましい商品やサービスへ誘導する狙いがあるとした。
「行政機関による規制もあるが、迅速な対応が難しい。ホルムアルデヒド(シックハウス問題の原因とされる有機化合物)に対する指針値は1997年にできたが、シックハウス問題が顕在化してきたのは1980年代だった。それであれば、消費者がより室内環境に良いものを選ぶ仕組みがあれば、メーカーも望ましいものを開発する。消費者に比較可能なデータを提供することが重要で、そのためには評価の土俵が同じでなければいけない」
現在同学会では、性能を比較するための標準検査方法を設定中。検査に合格した製品に対しては「室内環境学会標準準拠」の商標の使用を許可するという。既に検査の第1号として、カビ胞子に関する空気清浄機の検査法を認定している。
柳沢教授はまた、空気清浄機の評価では、副作用の検証が重要であることを指摘。例えば、オレンジなど柑橘系の皮に含まれる天然の香り成分「リモネン」に、酸化力が高いオゾンが反応し化合物となると、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒドが生成され、気道や眼に刺激が加わる恐れがあるという。
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