シックライフ・シックハウス症候群・化学物質過敏症・アレルギーなどに関する事柄について事務局よりお届けいたします。
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河北新報社より
校舎の改修工事が原因で児童19人がシックスクール症候群と診断された岩手県奥州市胆沢一小で、発症児童の保護者が「病気が正しく理解されていないのではないか」と不安を抱えている。相談相手が限られている上、窮状を訴える場も少ないのが実情だ。学校の「異臭」は子どもばかりでなく地域にも漂い、新たな問題となりつつある。
発症児童の父親の一人は「病気を周囲はなかなか分かってくれない」と嘆く。長男は発症後、排カガスや洗剤のにおいにも反応し、頭痛や吐き気を訴えるようになった。だが、いくら説明しても「気のせいではないか」と言われることもある。「最近は孤独感さえある。息子がほかの子どもと一緒に勉強できない事情を分かってほしい」と表情を曇らせる。
<ネットで中傷>
インターネット上での誹謗(ひぼう)中傷も問題化しつつある。発症児童のある保護者は、実名こそ挙げられなかったものの、「シックスクールと騒ぎすぎ」と何度も書き込まれた。「もう、いたたまれない」と唇をかむ。
こうした事態を、日本アレルギー学会専門医で宮城県立こども病院総合診療科部長の三浦克志医師は「同じ教室で発症する児童とそうでない子がいるので、病気を理解できない人がいるのも不思議ではない」と分析。解決に向けては「周囲は病気だということをしっかりと認め、患者に配慮する気持ちを持つことが大切だ」と提言する。
<市教委に不満>
そこでケアの役割を期待されるのが学校と市教育委員会なのだが、両者の対応に不満をぶつける保護者は多い。9月上旬には病気の原因が化学物質とは限らないとする長野県の医師の文書を「セカンドオピニオン」として全児童の保護者に配布。「原因は化学物質」としてきた盛岡市の主治医と異なる見解だったため、混乱を招いた。
市教委が9月30日に開いた説明会に参加した保護者の一人は「市教委は病気の原因や症状を分かりやすく説明するべきだ。理解不足が保護者の意見対立を生んでいる」と指摘する。
<解決の先例も>
ほかの地域では、5年前に宇都宮市教委が保護者、学校との3者で「シックスクール問題連絡会議」をつくり、解決した事例がある。「話し合いの場を設けることに力を注いだ。協力できることを確認し納得できるまで話し合った」(同市教委学校健康課)という。
奥州市の発症児童の保護者たちは、日に日に地域で孤立感を深めている。佐藤孝守市教育長は「保護者や地域の理解を得るには時間がかかると思うが、丁寧に対応したい」と話している。
<メモ>
校舎改修工事を行う奥州市胆沢一小で児童がシックスクール症候群と最初に診断されたのはことし
3月。7月までの発症者は19人。このうち3人は市内の別の小学校に転校した。学校は夏休み明けの2学期開始から市の施設5カ所で分散授業を行い、今月4日には化学化合物の濃度検査をした上で改修校舎の使用を再開した。発症児童の2、3人は現在も別校舎の「避難教室」で学習している。
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