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シックライフ・シックハウス症候群・化学物質過敏症・アレルギーなどに関する事柄について事務局よりお届けいたします。
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毎日新聞記事より

学校の理解こそ不可欠

たとえ微量でも体調が崩れる化学物質過敏症(CS)になった子どもたちが学校内の化学物資に反応して苦しむ「シックスクール」の問題が絶えない。多くは、学校側がこの深刻な病気を理解しないために起こっている。

6年前にCSの3兄弟を定時制に受け入れた大阪府立北野高校を成功例として記事にしたことがあるが、その経験は生かされていない。当時の北野高校長の中垣芳隆さん(63)に内情を詳しく尋ねる機会があり、解決策を探った。


建材や教科書から

CSは建材などから出る化学物質を大量に吸ったことを契機にかかる。今秋には、電子化診療報酬請求書(レセプト)で使われる病名リストに登録される予定だ。シックスクールは、学校のワックスや殺虫剤などの化学物質に反応し、頭痛、鼻血などの症状が出る場合を言う。子どもは学校を避けることができず、深刻だ。

私は約7年前、この問題の取材を始めた。その後、教科書から放散される化学物質の対策に教科書協会が取り組んだ。

北野高も03年、他の高校や中学で配慮されずに症状を悪化させていたCSの兄弟の受け入れを決めた。同校が07年3月に3人を卒業生として送り出すと、「一つの道筋ができた」と私は安堵(あんど)した。改善に向かっているように思えた。

しかしながら、別の学校で「CSなのに配慮してもらえない」という訴えが何度か耳に入ってきた。そんな悩みを持つ母親らによる「子どもをとりまく環境を考える会」が今年7月、中垣元校長を大阪府箕面市に招いたのを機に改めて取材した。


北野高の取り組み

中垣さん(現・大阪女学院大教授)は、大阪府教育委員会で長年、受験対応を担当し、さまざまな障害を持つ子どもに配慮する立場にあった。北野高の校長になって1年弱、CSの兄弟の受験が舞い込んだ。

中垣さんは「大阪府内に住所があって、応募資格があり、学びたいならば、安心して受験してもらわなければならない」という方針を示した。これは府教委の経験からいっても当たり前という。当時の定時制の教頭をはじめ教職員も同じ思いだったという。

定時制を受験すれば、合格する可能性が極めて高く、授業の際にもきめこまかく対応することになった。事前に兄弟から状況を聞くと、教室には入れそうにない。そこで、天井はあるが吹き抜けになっていて、全日制の運動部が雨天に練習するピロティー部分を受験場とし、入学後も「教室」とすることにした。

3月の定時制の職員会議。兄弟の担任は、化学物質を避けるため、口紅や整髪料などの化粧品なしの「すっぴん」が求められると説明した。すると、男女2人の教員が「私が担任を」と手を上げた。希望の理由は、さまざまな人を教える定時制の教員が「しんどい思いをしてでも、学ぼうとしている人に寄り添いたい」と熱意を持っていたからだという。

事務部長は近隣自治会の役員に「子どもたちが通学できなくなるので、農薬散布を控えてもらえませんか」と依頼した。中庭の緑化事業でも「学びの支障にならないように」と化学物質に気を配った。3人の在学中は、影響する恐れがあるワックスを塗らないことにもした。

中垣さんは「教頭や教職員、自治会の人々らの善が集まって3人の兄弟が支えられたのか、3人がみんなの善を引き出したのか」。他の学校での苦い経験を持つ3人の母、入江昌子さん(52)と北野高との共同作業でもあった。


現場の認識いまだ

では、北野高では何か特別な働きかけを府教委にしたのだろうか。中垣さんの答えは「いいえ」だった。

設備といえば、真冬の吹きさらしの「ピロティー教室」を囲むむくの木のついたてを確保したが、100万円以下だった。兄弟の担任への非常勤講師料は一般の障害者予算枠で確保できた。「やる気にさえなれば、対応できる」と言うのだ。

中垣さんは「兄弟が入学した翌年は、北野高の全日制の大学進学がとても良かった。兄弟が悪条件の中で懸命に学ぶ姿勢に生徒たちが影響を受けたと思っている」とも強調する。

だが、現実は厳しい。

他の学校でのCSの子どもに対する対応を知るとあまりにもギャップがある。母親がワックスの塗布について配慮を頼むと、「みんなの施設を維持しなければならない。一人の子どものためにみんなを犠牲にできない」などと言われるという。確かに、CSの子どもに初めて接した人は「こんなものに体が反応するはずがない」と困惑する。


学びの熱に応えよ

大阪府は05年、「子どもにも配慮したシックハウス対策マニュアル」を作成した。しかし、各地の教育委員会や学校などには行き渡っていないか、存在が知られていない現状がある。

中垣さんは「北野高での経験は組織的には、途切れてしまった。私も、ほかの学校にもCSで苦しんでいる子がいるということに十分思い至らなかった」と反省も口にする。

中垣さんの話を聴いた有志は大阪府教委に対し、府教委独自のシックスクール対応マニュアルの作成や、関係部署への働きかけもできる相談窓口の設置を要望した。学びたい熱意に応えるためにも、教育関係者の間で問題意識の共有化を早く進めてほしいと思う。



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