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国立環境研究所主催の公開シンポジウム2011「ミル・シル・マモル~命はぐくむ環境をめざして~」の第二部の報告です。
第二部 環境研究の最前線
講演1「大気シミュレーションで解明する広域大気汚染の実態」
地域環境研究センター 大原 利眞氏
講演2「海洋酸性化-地球温暖化と同時に進行するCO2問題」
講演3「化学物質による健康影響を受けやすい性質とは~感受性に関わる要因について~」
環境リスク研究センター 藤巻 秀和氏まずはじめに広域大気汚染の実態ですが、地上付近に存在するオゾンによる大気汚染についてお話しされました。成層圏に存在するオゾン層は有害な紫外線から我々を守ってくれますが、地上付近に存在するオゾンは別物。
そのオゾンが全国的に増加しているとのこと。
しかし、国内ではオゾンの原因物質の窒素酸化物(NOx)と揮発性有機化合物(VOC)は発生源対策によって減少しているのに、オゾンが増加している不思議な現象が。この原因として、大気汚染物質の排出量が急増しているアジア大陸からの越境汚染の影響が増加していることが挙げられました。
このように大陸から西風によって東シナ海や黄海などの海上を通過して日本上空に運ばれる汚染物質はオゾンだけでなく微小粒子状物質(PM2.5)もあり、越境汚染を引き起こしているということです。大気汚染シュミレーション結果によると、西日本における春季のオゾンに対する中国の影響は、平均すると10~20%程度、九州などで光化学スモッグが発生したときは50%程度にまで達することがあるそうです。
但し、未知の問題・課題として、我が国のオゾンが成層圏からの流入、ヨーロッパ・北米からの大陸間輸送、および国内での生成などの様々な影響を受けているため、これらの影響を定量的に把握する必要があるということです。
最後にオゾンではありませんが、会場スクリーンでは福島第一原子力発電所の事故によって放出された放射性物質の広域的な大気シュミレーションも紹介され、放射性物質の経時的な流れなどを見ることができました。
続いては、海洋酸性化についての発表が。
地球温暖化と同時に進行している二酸化炭素(CO2)問題。
この海洋酸性化とは、海水が酸性になるのではなく二酸化炭素が増えることで、酸-アルカリのバランスがより酸性の方向にシフトすることを意味します。
では、この状態になると何が起こるのかというと、生物・生態系に影響を及ぼすという損失があらわれるということ。
しかし、海が二酸化炭素を吸収しないと大気中の二酸化炭素濃度増加速度が倍加しますが、海の二酸化炭素吸収により気候の急激な変化を抑制するという便益が与えれるということ。そうしたことも踏まえて今後の影響を予測する研究が続けられているそうです。
今回の講演の最後は、化学物質による健康影響を受けやすい性質についてのお話でした。
まず環境中に存在する化学物質による健康影響を評価するときには、その濃度と毒性を把握することが重要なポイントになりますが、その影響を受ける側の感受性も考慮する必要があるということから、揮発性有機化合物(VOC)の生体防御系における健康影響を探る研究を紹介されました。
その研究によると、遺伝要因、神経要因、発達時期の要因がマウスの実験から化学物質との影響との関連、可能性があるという結果になったということ。
但し、化学物質に対する感受性の違いを生じる要因として挙げられる遺伝的背景、化学物質の濃度と曝露時期、性差、既疾患の有無などについてさらに検討し、その影響メカニズムの解明が時間の
流れ、ヒトの場合ではどのようになるのかなど、今後待たれるということでした。
最後の化学物質の健康影響の例の中では、アレルギー、シックハウス症候群、化学物質過敏症が出されましたが、化学物質の恩恵を受けながら生活している現代では改めてそのリスク再認識しなければといけませんねとちょうど隣に座られた方と一言二言会話がありました。
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