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朝日新聞より
「シックハウス症候群」の患者が原因物質を取り除くために自宅を改築する際、一時的な住居として公営住宅を利用できるようにする指針を国土交通省がまとめた。近く全国の自治体に通知する。
低所得者向けの公営住宅としては目的外使用にあたるが、患者団体からの要望にこたえた。シックハウス症候群は、建材などに含まれる化学物質が原因で頭痛や吐き気、鼻血などの体調不良が生じる。全国に約100万人の患者がいるとの試算もあるという。
国交省によると、公営住宅の利用が可能となるのは、転居が健康上有効であると専門の医療機関で診断された人。
利用期間は原則として1年以内。
家賃は近隣の民間賃貸以下で、それぞれの経済状況に応じた額とする。
シックハウスは住宅を新築、改築した際に症状が出る場合が多い。原因物質を除く数カ月の工事期間に限った転居先を民間で借りるのは困難だとして、患者団体が厚生労働省や国交省に対策を求めていた。患者団体・シックハウス連絡会の代表は「長年の要望が実った」と歓迎している。
【関連サイト】
「シックハウス症候群患者」の公営住宅への入居について
NPO法人 シックハウス診断士協会
広島事務局:〒730-0856 広島市中区河原町5-3-2F
東京本部:〒108-0073 東京都港区三田2-1-41-1F
東京事務局:〒103-0012 中央区日本橋堀留町1-11-5-2F
電話番号 082-961-5271 FAX番号 082-961-5272
ご相談 & お問い合わせメールアドレス
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独立行政法人 国民生活センターより
本件は、マンションを購入した夫婦が、シックハウスを理由として本件契約の解除等を求めた事案である。裁判所は、瑕疵(かし)担保責任に基づいて契約解除および損害賠償は認めたが、債務不履行および不法行為を理由とする損害賠償は斥(しりぞ)けている。(東京地方裁判所平成17年12月5日判決)
- 『判例時報』1914号107ページ
- 一部請求認容(控訴)
事件の概要
Xら(原告):消費者(夫婦)
Y (被告):不動産管理仲介業者
平成14年7月27日に、XらはYから新築マンション(以下、本件建物)を購入した。本件建物のパンフレット等には、「環境物質対策基準 JAS(日本農林規格)のFc0基準とJIS(日本工業規格)のE0・E1基準の仕様 目にチカチカとした刺激を感じるなど、新築の建物で発生しがちなシックハウス症候群。〈ベルザ×××〉では、その主な原因とされるホルムアルデヒドの発生を抑えるために、JAS規格で最も放散量が少ないとされるF1基準やJIS規格のE1基準以上を満たしたフローリング材や建具、建材などを採用。壁クロスの施工などにもノンホルムアルデヒドタイプの接着剤を使用しています」との表示があった。
Xらは、本件建物がいわゆるシックハウスであり、居住不可能であるとして、(1)消費者契約の申し込みの意思表示の取消し、(2)詐欺取消し、(3)錯誤無効、(4)瑕疵担保責任、(5)債務不履行責任、および、(6)不法行為責任を理由として、代金の返還と損害賠償を求めた。
瑕疵について、Xらは、本件建物はホルムアルデヒドの放散する環境物質対策の不十分な建物であり、Xらの健康を害し居住に適さない状態にあることから、本件建物には瑕疵があると主張した。YはJASのFc0基準またはJISのE1基準以上を満たした建材等を使用しており、本件建物に瑕疵はないと争った。
債務不履行については、Xらは、Yは本件建物の売り主として、設計段階において、本件建物につき有害物質の放散により居住者の生命身体に危険を生じさせる恐れのない建物を設計すべき注意義務があると主張した。Yは本件建物には瑕疵がなく、債務不履行はないと主張した。
不法行為については、XらはYの広告宣伝から売買契約に至る一連の行為は、本件建物のような環境物質対策が不完全な目的物を環境物質対策が十分なものとして売却したとして、不法行為となり、また、下地材にホルムアルデヒドを発散させる素材を使用するなどの設計・施工をした注意義務違反により、本件建物に瑕疵を発生させたと主張した。これに対してYは、本件建物には瑕疵はなく、不法行為ともならないと主張した。
理由
Yは、本件建物の分譲に当たり、環境物質対策基準であるJASのFc0基準およびJISのE0・E1基準を充足するフローリング材等を使用した物件である旨を本件チラシ等にうたって申し込みの誘引をなし、Xらがこのようなチラシ等を検討のうえ、Yに対して本件建物の購入を申し込んだのであり、本件売買契約においては、本件建物の備えるべき品質として、本件建物自体が、ホルムアルデヒドを始めとする環境物質の放散につき、少なくとも契約当時行政レベルで行われていた各種取り組みにおいて推奨されていたというべき水準の室内濃度に抑制されたものであることが前提とされていたものとみることができる。そして、当時行政レベルで行われていた各種取り組みにおいては、住宅室内におけるホルムアルデヒド濃度を少なくとも厚生省指針値の水準に抑制すべきものとすることが推奨されていたものと認めるのが相当である。本件においては、引き渡し当時における本件建物の室内空気に含有されたホルムアルデヒドの濃度は、100μg/立方メートル(0.1mg/立方メートル)を相当程度超える水準にあったものと推認されることから、本件建物には瑕疵が存在するものと認められ、これは隠れた瑕疵ということができる。
2 債務不履行(否定)Xらが主張する「本件建物を含むマンションの設計に当たりホルムアルデヒド濃度につき厚生省指針値を超えることがないよう設計すべき注意義務および施工に当たり有毒物質の放散により居住者の生命身体に危険を生じさせる恐れのないように使用する部材を選定・変更すべき注意義務」のような注意義務は、一般的な注意義務として不法行為責任を追及する根拠となることはあり得るとしても、本件売買契約の内容とはなっていない。
3 不法行為(否定)建材等が本件建物内のホルムアルデヒドの発生源として一応推認されるとはいえ、これらの建材等としてはJASのFc0基準、JISのE0・E1基準の仕様を有するものが建築に際して出荷されたことおよび施工に際してこれらが他の建材等にすり替えられた可能性を具体的に窺(うかが)わせるような事情も存在しないことを考えると、ホルムアルデヒドの具体的な発生源および発生機序を特定することはできない。また、Yは、JASのFc0基準・JISのE0・E1基準の仕様を有する建材等を用いて本件建物を含むマンションを建築したのであり、Yに注意義務違反はない(慰謝料請求棄却)。
解説
1 瑕疵担保
本件は、シックハウスであるということが新築建物の瑕疵と認められた初めての判決である。瑕疵については、当事者の取り決めによる品質を基準とする主観的瑕疵を認めている。本件契約当時の平成14年は既に行政基準が作られていた時期であり、これを基準とするという手法は注目され、今後同様の事例の先例となろう。本件のようにパンフレットで、シックハウス対策がうたわれていない場合については、依然として問題が残される。損害賠償については、瑕疵担保に依拠したため、過失を要件とすることなく認められており、管理費や修繕積立金等を信頼利益(注)の損害と認定し賠償を認めている。このように、瑕疵担保によると、消費者である買い主の保護がかなり図られることになる。
しかし、健康被害による治療費や慰謝料については、信頼利益の損害ではないので、瑕疵担保では認めることはできない。
債務不履行については、いわゆる付随義務違反による健康被害に対する慰謝料が問題になっているが、Xの主張するような注意義務は不法行為では問題になるが、「売買契約の内容」にはなっていないとして斥けている。付随義務は信義則から導かれるものと考えられており、「売買契約の内容」でなければならないというのは、学説の一般的な理解よりも狭い考えによっているものといえる。しかし、あえて付随的な注意義務ではなく、「シックハウスでない物件を供給する義務」として給付義務自体に問題の内容を組み込むことも考えられ、債務不履行を否定した点については疑問が残される。
3 不法行為不法行為については、民法709条によるため「過失」が要件となる。安全配慮義務違反の事例であるが、被用者に対する使用者の過失を否定した判例がある(参考判例[1]参照)。本件では、Yは自ら建物を建設した業者であるが、建材等としてはJASのFc0基準、JISのE0・E1基準の仕様を有するものが建築に際して出荷されており、ホルムアルデヒドの具体的な発生源および発生機序を特定することはできないことから、過失が否定されている。JASのFc0基準、JISのE0・E1基準の仕様の建材を使用すれば、特別事情がなければ、ホルムアルデヒドの発生について予見可能性が否定されたのである。しかし、個々の材料は基準を満たしていてもそれらが複合してどう人体に影響を与えるかは分からないのであり、完成した段階でホルムアルデヒドの濃度を測定するといった注意義務を認めることも考えられ、測定をすれば容易にホルムアルデヒドが基準を超えていることは予見可能であったのであり、過失も否定されることはない。この点で疑問が残る。
参考判例
[1]大阪地方裁判所平成18年5月15日判決、『判例タイムズ』1228号207ページ(社屋を新築し、その新社屋においてホルムアルデヒドにより被用者が化学物質過敏症になったことが認められたが、平成12年当時において、使用者がホルムアルデヒド等の化学物質によるものと認識し、必要な措置を講じることは不可能または著しく困難であったとして、使用者の責任を否定)。
[2]東京高等裁判所平成18年8月31日判決、『消費者法ニュース』71号217ページ(電気ストーブの使用による化学物質過敏症の発症につき、売り主の債務不履行責任を肯定)。
注:信頼利益とは
損害賠償の対象となる利益についての区別として、有効でない契約を有効であると信頼したために生じた、信頼した者の利益のことを「信頼利益」という。これに対して、契約が有効であり、それが完全に履行されたならば債務者が得たであろう利益のことを「履行利益」という。
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日経BP社ケンプラッツより
トラブルが起きた住宅はツーバイフォー工法の2階建て。スチレンは、最大で719.0μg/m2hもの濃度が検出された。これは厚生労働省指針値を3倍以上も上回る数値だ。
調査を行った住宅紛争処理支援センターは、バルコニーのFRP層にスチレンが使われていることから、そのスチレンが幅木の下から漏出したと断定した。「幅木近くのスチレン濃度が高かった。またFRPが硬化しきっておらず、VOC(揮発性有機化合物)の発生源になっている例が多い」(同センター相談部の小椋利文次長)ためだという。
バルコニーは居室の外側に当たるので、仮にVOCの発生源だったとしても、建築基準法によるシックハウス規制の制限を受けない。
ところがこの事例では、規制に対応するために室内が負圧になる第3種換気を採用していた。設計上、空気は自然給気口から入ることになっているが、現実には負圧になった屋内へ、あらゆるすき間から空気が入っていた。
バルコニー下部で揮発したスチレンは、そのすき間から屋内に吸い込まれたと推測される。
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北海道住宅新聞より
NEWソトダン研修会 法改正後も要注意と川本氏
NEWソトダン住宅研究会(川本清司会長、(有)北欧住宅研究所所長)では12日午後から札幌市内で定例の研修会を開催。
シックハウス対策の改正建築基準法施行から丸4年になろうとしているが、シックハウスに関する相談や裁判が増えていることから、改めて適切な建材の選択・施工と換気などシックハウス対策を中心に勉強した。
講師は会長の川本氏。これまでに数多くの住宅の室内化学物質濃度調査などを行ってきた経験から、改正基準法の施行後は、規制が始まったホルムアルデヒドについては指針値をオーバーする住宅がほとんどなくなったが、代わりにアセトアルデヒドが指針値をオーバーするケースが増えている、アセトアルデヒドの放散源として根太ボンド類が疑われるなどを紹介した上で、ボンドの成分チェックや使用量を抑えるなど、現場での対策も重要になることを紹介した。
また入居後に住人が化学物質過敏症にかかってしまった家の例から「アセトアルデヒドはベイクアウトを実施してもなかなか濃度が下がらない場合が多い。そういうときは換気量を1.5回/h程度にして1週間ほど運転すると指針値以下まで低下し、その後換気量を0.5回/hに戻しても指針値を大きくオーバーすることはなかった。
通常の換気設備では対応できないので、レンジフードを回すとよい。ただ、指針値以下に抑えても、
患者は症状こそ改善したがまだ過敏症に悩んでいる」と対応の難しさを説明した。
最後に、「ホルムアルデヒド対策ができたからシックハウス対策ができたと考えるのは間違い。ほかの化学物質の濃度が高くないか、十分注意する必要がある。換気については、適切な設計・施工と、換気風量の測定による確認が大切」であることを改めて強調していた。
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日経スペシャル「ガイアの夜明け」にて、シックハウス及び化学物質過敏症に関する番組が。
詳しくはこちらをご覧ください。
⇒ 家があなたを壊すとき ~シックハウス・化学物質過敏症と闘う~
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