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シックライフ・シックハウス症候群・化学物質過敏症・アレルギーなどに関する事柄について事務局よりお届けいたします。
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読売新聞より

昨年12月に東京都調布市の小学校で5年生の児童(11)が給食を食べた後に亡くなった問題で、
食物アレルギーの深刻さが改めて注目された。

緊急時の注射薬の使用をめぐって学校現場には戸惑いもある。教職員や周囲の大人もアナフィラキシーへの対処法を知っておきたい。

「アナフィラキシーはいずれの学校でも起こりうる。事故を繰り返さないために、特別なことと思わず、日頃から学校全体で準備してほしい」

文部科学省と厚生労働省が合同で今月11日に東京都内で開いた「アレルギー疾患に対する普及啓発講習会」。集まった教職員や保育関係者を前に、両省の担当官らが再発防止を強く呼びかけた。

食物アレルギーを持つ子どもは珍しくない。文科省が2004~05年に児童生徒約1280万人に行った調査では、食物アレルギーを持つ割合は2・6%だった。

このため、文科省が監修して08年に「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」がまとめられた。子どものアレルギーの情報を教職員全員で共有し、緊急時には、ショック症状を和らげる自己注射薬(商品名「エピペン」)を、児童・生徒に代わって教職員が使用するなどの対応策を促している。

学校給食に関する著書がある東京農大学術研究員の牧下圭貴さんは「教育現場ではアレルギー対応について問題意識がやっと高まってきたところ。自治体や学校によって対応に差がある」と話す。

特に問題なのがエピペンの取り扱いだ。文科省が10年に全国の教育委員会などに聞き取り調査をしたところ、教職員向けにエピペンの講習会を実施しているのは47都道府県のうち37にとどまった。

教職員からは「注射をするのは怖い」という声があり、文科省は09年7月には、教職員が緊急時にエピペンを使用するのは「医師法違反にならない」と全国の都道府県教委などに通知している。しかし、依然として、「どう使っていいのかわからない」「負担になる」など戸惑う声が根強いという。

学校での取り組みを広げるため、NPO法人「アレルギーを考える母の会」(横浜市)では、09年から
神奈川県と連携し、小児アレルギーの専門医を講師に、学校でのエピペンの使い方などの研修を実施している。これまでに教職員ら3460人が参加した。

同会代表の園部まり子さんは「自己注射薬は命を守る道具だということが、現場の先生や管理職に伝わっていない」と話す。アナフィラキシーの症状は瞬く間に進むため、救急車の到着を待っていると治療が手遅れになる可能性があることなどを専門医が具体的に説明し、自己注射薬の必要性を理解してもらっているという。

園部さんは、「エピペンがどこに置いてあるかなどは、みんなが知っておく必要があるのに、養護教諭任せにするなど、危機感が薄い学校も多い。いざという時の備えは十分ではない」と話す。

地域の消防との連携も欠かせない。千葉市や大阪府大阪狭山市では、エピペンを処方されている
児童・生徒について、保護者の同意を得て、地域の消防機関とも子どもの情報を共有し、緊急時には迅速に対応できる救急搬送システムを作っている。

全国養護教諭サークル協議会の舟見久子さんは、「子どもの命を守るために、日頃から二重、三重のチェックをし、緊急時に誰もが対応できるよう情報共有することが欠かせない」と話す。

アナフィラキシー 
食物や薬物、ハチ毒などが原因で起こるアレルギー反応。皮膚や呼吸器など全身の様々な臓器に
症状が表れ、急速に悪化するのが特徴。血圧が低下してショック症状(アナフィラキシーショック)を
引き起こす場合があり、命を落とすこともある。

急激な重症化に注意…目を離さず、周囲に応援頼む

アナフィラキシーを起こすと、命に関わる場合もある。患者や家族だけでなく、周囲も正しく理解して、適切な対処法を身に着けておきたい。

 Q 食物アレルギーでは、どんな症状が表れるのか。

 A 昭和大学医学部小児科講師の今井孝成さんが学校給食で食物アレルギーを起こした637例を調べたところ、皮膚症状が一番多く68%、粘膜症状42%、呼吸器症状30%、消化器症状11%、ショック症状が7%だった。

 Q 症状を起こさないための注意点は。

 A 祖父母らが「少量なら大丈夫」「食べられないのはかわいそう」などと、孫に原因食材を食べさせ、起こることがある。少量でも厳禁だ。原因食材を食べないだけでなく、接触にも注意したい。牛乳アレルギーの子どもが牛乳パックを使った工作で発症したケースもある。

 Q アナフィラキシーへの対応は、どうすればいいか。

 A 食物アレルギーを持つ子を預かる時は、事前に緊急連絡先や注意点を聞くなど、事故への備えをしておきたい。

万が一、症状=表=が複数出てきたら、子どもの状態を見つつ、保護者や主治医などに連絡を取る
こと。アナフィラキシーは、様々な症状が出る。瞬く間に悪化することが多いので「そのうち落ち着くだろう」などと考えて一人で休ませておくと、手遅れになる可能性がある。子どもから決して目を離さず、
すぐ周りに応援を頼むこと。

「今まで症状が表れた経験がない子が急にアナフィラキシーを起こす可能性もあり、表のような症状が出たら注意してほしい」と今井さんは話す。

 Q エピペンはいつどう使うのか。

 A エピペンは、ショック症状を抑えるための注射薬。表の重症の症状などに当てはまる場合に、
携帯用ケースから取り出して、太ももに打つ。効き目はすぐに表れるが10~15分しか持続しないので、すぐ救急車を呼ぶことも必要だ。

厚生労働省は、エピペンの使い方などの対応をインターネットの動画投稿サイト「ユーチューブ」で
発信している。


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下野新聞より

【宇都宮】食物アレルギー疾患がある市立小中学校の児童・生徒が増加傾向にある。2008年度は582人で全体に対する割合は1・4%だったが、本年度は887人、2・2%となった。

昨年12月には東京都調布市の市立小学校で乳製品にアレルギーがある5年生女児が給食を食べた後に亡くなった事故もあり、市教委は05年度に定めた「学校給食における食物アレルギー対応マニュアル」に基づき、事故の未然防止に力を入れている。

調布市の事故を受け、市教委は今月末、学校栄養士を集める会合で「マニュアルに基づいてやるべきことを確認し、事故を未然に防ぐ」(市教委学校健康課)ため、あらためて注意喚起する。

市教委のマニュアルには、年1回保護者と面談する際の注意点、万が一の対応、調理方法などをまとめた。05年度から、就学前健康診断で保護者に「アレルギー調査票」を記入してもらった上で入学前に面談、アレルギー把握に努めている。

昨年5月現在のアレルギー疾患者は、小学生674人、中学生213人。アレルギー物質は卵やキウイフルーツ、乳製品、魚介類、ピーナツなど。対象者の給食はアレルギー物質を除去や代替するなどして別に調理する。児童・生徒の状態によっては、弁当持参のケースもある。


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産経新聞記事より

日本人の3人に1人以上がかかるという花粉症などのアレルギー。

医療機関で受けるアレルギー検査で何が分かるのか。代表的な検査の一つ、血液検査の読み取り方を専門家に聞いた。

積み重ねで症状

東京都の男性会社員(46)は、せきが続くため、今月上旬に医療機関を受診。血液検査(3割負担で約5千円)で、アレルギー性のせきぜんそくの可能性を指摘された。 

「検査報告書」の項目は「特異的IgE(アイジーイー)」検査のことで、血液中の「IgE抗体」の濃度を調べる検査だ。陽性か陰性かで、その物質に対するアレルギーの有無を推定できる。 ただ、「陽性なら必ず症状が出るわけではなく、個人差がある。IgE抗体の濃度が高いほどアレルギー症状は出やすく、原因物質を絞り込む状況証拠と考えて」と、アレルギー検査に詳しい昭和大の木村聡准教授(同大横浜市北部病院臨床病理診断科)は解説する。

男性会社員の場合、ハウスダスト▽ヤケヒョウヒダニ▽コナヒョウヒダニ▽スギ▽犬のフケ-の5項目が「クラス3」の陽性。3カ月前、自宅で犬を飼い始めてから鼻水やくしゃみが出ることから、犬のフケによるアレルギー症状が出現。それまで平気だったダニやハウスダストにも反応するようになったようだ。

複数のアレルギーがある場合、それらが積み重なって一定の許容量を超えると症状が現れるからだ。症状を抑えるには、個々のアレルゲンにできるだけ近寄らないこと。

男性会社員の場合、ハウスダストとダニの量を減らすことで、犬と接触しても症状が出なくなるかもしれない。しかし、スギ花粉の時期は、スギ花粉の量が例年より少なくても症状が出る可能性がある。

効果的な検査を

同時に測定した「RIST」(非特異的IgE)はIgE抗体の総量。

IgEがからむアレルギーを発症しやすい体かどうかを知る目安だ。「『特異的IgE』の項目が陰性で『非特異的IgE』が高い場合、検査では拾い上げられなかった別のアレルゲンが隠れている可能性がある」と木村准教授は指摘する。 

現在、国内では約200種のアレルゲンが健康保険で検査できるが、1回で測れる数は制限がある。 木村准教授は「年齢や地域、季節でアレルゲンには差がある。庭木の『ハンノキ』花粉など思いもよらぬものが原因の場合もあり、検査前に、自分がどんな場所、物、季節で症状が出やすいか、あらかじめ調査してから医療機関に相談を」とアドバイスしている。

1800万件の検査結果を公開

三菱化学メディエンス(東京都港区)はホームページ(www.medience.co.jp/allergy/index.html)で、平成10~23年のアレルギー検査結果約1800万件を公開している。年齢、地域別に多いアレルゲンを調べることができる

【用語解説】

IgE抗体 免疫を担当し、花粉などの異物が体内に入ると作られるタンパク質で、鼻や目の粘膜で
肥満細胞(マスト細胞)と結合。アレルゲンに出合うと、ヒスタミンなどかゆみを誘発する物質を放出する。吸い込むことで発症する吸入系アレルゲンは、ハウスダスト、ダニ、スギ花粉などが代表的だが、最近は猫などの動物やカビ類も。

食物アレルギーの代表は、▽乳児=卵、乳製品、小麦など▽成人=エビ、カニ、小麦、果物など。
乳幼児期の抗体は成長に伴い、減少することが多い。


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文部科学省より

学校給食における食物アレルギー等を有する児童生徒等への対応等について


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産経新聞記事より

ミスは繰り返され、最悪の結末を招いた-。

東京都調布市の市立富士見台小学校で昨年12月、乳製品アレルギーがある5年生の女児(11)が、チーズ入りの給食を食べて死亡した事故は、担任教諭の確認ミスによる惨事だったことが判明し、警視庁が業務上過失致死容疑も視野に捜査している。同校では事故の3カ月前にも1年生の男児にアレルギーがある給食を誤って配り、病院に搬送されたばかり。教訓が生かされない失態に保護者らは認識の甘さに怒りをぶつける一方、症状や対応が生徒によって千差万別という現実が教育現場を悩ませている。

「食べてはいけない」食材、担任確認せず

 「余っているよ。食べる人はいない?」

昨年12月20日午後0時50分ごろ。死亡した女児の担任の男性教諭はおかわり用に残っていた給食をお盆に入れ、教室内を尋ねて回っていた。

 「おかわりがほしいです」

この日の給食のメニューには粉チーズが入った韓国風お好み焼き「じゃがチヂミ」があり、女児の乳製品アレルギーを把握していた学校側はチーズを除いたチヂミを特別に出していた。女児は自分の分を食べきってしまい、教諭におかわりを求めたのだ。

教諭は「大丈夫か?」と尋ねた。女児は両親が自主的に作っていた「食べてはいけない食品」に線が引かれた献立表に目を通したが、「じゃがチヂミ」の欄には線が引かれていなかった。教諭もそれで
食べても大丈夫と判断し、チーズの入ったチヂミを渡した。

昼休みが終わった午後1時25分ごろになり、女児が「気持ちが悪い」と体調不良を訴えたことで事態は急転する。教諭はアレルギー症状を改善する薬が入った注射を手に取り、「打つか?」と尋ねた。女児は拒絶したが、みるみるうちに顔が青白くなっていった。

最終的に校長の判断で約10分後に注射が打たれ、女児は救急車で病院に搬送されたが、約3時間後に死亡。行政解剖の結果、死因はアナフィラキシーショックという急性アレルギー反応とみられるという。

調布市教委によると、同校では食物アレルギーへの対応が必要な生徒ごとに、食べてはいけない食材に「×」印を記載した「除去食一覧表」、いわゆる「おかわり表」を作成していた。だが、教諭は当時、表を確認しないで女児にチヂミを渡していた。

教諭は「とても話を聴ける状態ではないほど、憔悴(しょうすい)している」(市教委)という。

3カ月前にも男児が発症…アレルギー教育も検討

同校での食物アレルギーによる事故は今回だけではなかった。しかも、死亡事故からわずか3カ月前のことだった。

市教委によると、昨年9月27日、卵にアレルギーがある1年生の男児が給食でオムレツを食べた直後にせき込み、鼻水が出始めた。異変に気付いた担任教諭が男児を保健室に連れて行き、保護者に連絡。病院で点滴などの治療を受け、軽症だったために帰宅し、翌日から登校しているという。

男児は自宅から特別にオムレツに変わるおかずを持ってきていたが、調理担当者が誤ってオムレツを配膳したという。男児は転校してきたばかりで、おかわり表が作成されていなかった上、オムレツがアルミホイルで包まれた状態で出されたために担任らが気付かなかったとみられる。

男児の事故を受け、同校は10月30日に食物アレルギーの研修会を全教員を対象に実施。死亡した女児に誤ってチヂミを渡した男性教諭も出席しており、安全確認の徹底などを周知していたが、死亡事故を防ぐことはできなかった。

今月7日に開かれた保護者説明会では、教諭らの認識の甘さを非難する声が相次いだ。 

 「なぜ教訓が生かされなかったのか」

 「またこういうことが起きてしまうのではないか」

市教委は今月10日、食物アレルギーの専門医らをメンバーとする検証委員会を設置。死亡した女児の給食に関する教職員間の情報共有の実態などを検証し、2月中にも結果をまとめる。平成25年度からは児童、生徒へのアレルギー教育の実施なども検討している。

427人が届け出…症状は「千差万別」

女児の死因となったアナフィラキシーショックは、特定の食物やハチの毒など体内の異物を排出する際に起きる急性のアレルギー反応。全身の発疹や血圧低下、呼吸不全など複数の臓器に同時に
症状が出るのが特徴で、症状が重ければ死亡するケースが多い。

「一人一人の症状が千差万別で、同じ児童、生徒でもアレルギー症状が出るかどうかはその日の
体調次第で異なるため、地道な情報収集が欠かせない」

子供の食物アレルギーに詳しい千葉大学大学院医学研究院の河野陽一教授(小児免疫)はこう指摘する。

調布市教委によると、今年度、食物アレルギーがあるとして学校側に届けられている児童、生徒は
小学校293人、中学校134人の計427人。アレルギーを発症して救急搬送されたのは昨年11月末現在、富士見台小1年の男児を含め3件だった。

河野教授は「軽症のケースなどは報告されていない可能性もある。全体像を把握することが何より大事だ」とした上で、「給食は本来、友達と楽しく食べるもの。必要以上に神経質になり、アレルギーを持つ子供が毎日お弁当を食べさせるようでは問題の解決にはならない」と強調する。

教訓が活かされないまま起きた死亡事故という最悪の結末。女児の遺族は「全国的にも活用できるような再発防止策を考えてもらいたい」との意向を示しているという。



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