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シックライフ・シックハウス症候群・化学物質過敏症・アレルギーなどに関する事柄について事務局よりお届けいたします。
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毎日新聞より

◇発症後の対応も練習 全職員で情報共有を

東京都調布(ちょうふ)市の小学校で昨年末、重い食物アレルギーーを持つ5年生の女児(11)が、アレルギーを起こす食材(アレルゲン)を含む献立(こんだて)を誤って食べ「アナフィラキシーショック」と呼ばれる強い症状を起こして死亡した。アレルギーに詳しい識者は、同様の事故はどこでも起こりうると警告する。学校給食に潜む危険−−。子どもの命を守るために何が必要かを考える。

市教委によると、女児には乳製品などに重い食物アレルギーがあった。亡くなった日、女児は給食のおかわりで「チヂミ」を食べた。このチヂミにはチーズが入っていたが、女児は知らなかった。

約30分後、女児は「気持ちが悪い」と訴え、呼吸困難を起こした。女児が「もれそう」と訴えたため、駆けつけた養護教諭がトイレに連れて行くうちに容体は悪化。校長が、ショック症状を抑えるため女児が携帯している自己注射薬「エピペン」を注射したが間に合わず、女児は同日夕に亡くなった。

女児にはアレルゲンを除いた専用の「除去食」が用意されていた。この日はチヂミが除去食だった。給食は他の子のように教室で受け取らず、調理員が手渡していた。教室では担任教諭が献立表の
一覧を持ち、おかわりしたい時は、アレルゲンの入った品でないかどうかを確認する決まりだった。

女児の保護者も念のため、同様の献立表を女児に持たせていた。アレルゲンの入った献立に印を
つけ、他の子と同じものを食べてはいけないことを、女児自身が確認できるようにしていた。

それでも事故は起きた。市教委によると、保護者が女児に持たせた献立表ではチヂミに印がついておらず、担任も、自分の一覧表を確認しないまま、チヂミを女児に渡していた。また、女児が呼吸困難を起こした際、担任は女児にエピペンを打つかどうかを尋ね、女児が「打たないで」と言ったため見送ってしまった。校長がエピペンを打ったのは、女児が「気持ちが悪い」と訴えた十数分後だった。

「死に至らないまでも、食物アレルギーで危険な状態に至る例はある。事故は氷山の一角です」。
小学校で30年間養護教諭を務めた帝京短期大の宍戸洲美(ししどすみ)教授は語る。

アナフィラキシーは全身性のアレルギー症状。乳幼児の5〜10%、小学生の1〜2%が食物アレルギーを持ち、その一部がアナフィラキシーを起こす。軽症の場合はじんましんや皮膚の赤みなどが発生し、重症化すると呼吸困難や意識障害、血圧低下などのショック症状に至る。

予防にはまず、給食で誤食を起こさないことだ。除去食専用の調理スペースを設ける、食器の色を変えるなど、原因となる食材を確実に除く対策が求められる。

宍戸教授の勤めた小学校では、給食トレーの上に献立カードを毎日置き、除去食に「×」をつけて、
他の子の献立と違うことを示した。肝心なのは「誰もがわかること」だ。

献立への対策も欠かせない。国立病院機構相模原病院臨床研究センターの海老澤元宏(えびさわもとひろ)・アレルギー性疾患研究部長は「今回のように、チヂミの中に粉チーズを入れるなど、普通は入れないような食材を、見えない形で入れることは誤食につながる」と注意を促す。

だが「それでも事故は起きる」と識者は口をそろえる。海老澤部長は「『ミスをゼロにはできない』という前提で、何重のチェック体制を作れるかが重要」と指摘する。

アナフィラキシーの怖い点は、分単位で進む症状進行の速さ。都立小児総合医療センターの赤澤晃(あかさわあきら)・アレルギー科部長は「早ければ1、2分で致命的になる」と話す。判断の遅れやミスは、命に直結する。エピペン注射のタイミングは迷いがちだが、文部科学省は「ショック症状が初期症状のうちに注射するのが効果的」と指導する。

赤澤部長は「救急対応や蘇生の研修を受けた教員を増やすべきだ」とも語る。個々の子どもの症状を把握し、それに合った対応策を練り、実際に練習もしておきたい。

情報共有も欠かせない。宍戸教授は「個人情報を理由にアレルギー情報の共有をためらう学校もあるが、命を守るためには全職員が共通認識を持つべきです」と訴える。

家庭では何ができるか。

「食物アレルギーの子を持つ親の会」事務局の伊藤友希(ゆき)さんは「予防も重要だが、緊急時の対応や処置法も担任らと事前に相談することが必要だ」と話す。

児童本人の教育も大切だ。宍戸教授は「子どもは常に大人の管理下にいるとは限らない。本人に自分の体について十分に認識させ、身を守る力をつけさせることが、誤食防止や救命への最後のとりでにもなる」と説く。

「心拍と呼吸がある状態で病院に着けば、アナフィラキシーで死ぬことはない」と海老澤部長。そのために周囲ができることは何か、改めて念入りに見直すことが必要だ。


◇児童・生徒がアナフィラキシーを起こしたら?

 気道を確保し、呼吸・血圧を確認

        →

 呼吸・血圧の低下、顔面そう白などショック症状がある場合

 直ちにエピペンを注射し、救急車を要請

 <注意点>

▽脚を高くして寝かせ、動かさない

▽動かす必要がある時も担架などを利用し頭を上げない

▽大人が決して離れない

▽できるだけ複数で対応する

 *海老澤部長の話などを基に作成


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産経新聞記事より

確認ミスの可能性 業過致死疑いも

東京都調布市の市立富士見台小学校で昨年12月、乳製品アレルギーがある5年生の女児(11)がチーズ入りの給食を食べ、アナフィラキシーショックで死亡した事故は、担任教諭の確認ミスが原因だった可能性が高まっている。同校では事故の3カ月前にも卵アレルギーの男児が、卵製品の給食を食べる事故があり問題となっていたが、その教訓は生かされなかった。市教育委員会は今月中にも事故の検証結果をまとめるが、警視庁は業務上過失致死容疑の可能性も視野に捜査している。

「余っているよ。食べる人いない?」

昨年12月20日の給食時間、担任の男性教諭は、給食の残り物をお盆に入れて教室を回っていた。お盆には、粉チーズが入った韓国風お好み焼き「じゃがチヂミ」。女児が手を挙げた。

「おかわりがほしい」

乳製品アレルギーがあるため、粉チーズ入りを食べられない女児。学校側は、チーズを除いたチヂミを特別に出しており、この担任は「大丈夫か?」と尋ねた。

しかし、女児は気にせず、粉チーズ入りを受け取り、食べてしまった。両親には「食べてはいけない食品」に線が引かれた献立表を持たされていたが、「じゃがチヂミ」には線が引かれていなかったのだ。

ただ、それは厳密なものではなかった。はじめに女児に出されたチヂミはあくまで特別で、「おかわり」には粉チーズが入っていた。学校側では別に、食べてはいけない食材に「×」印をつけた「除去食一覧表」を用意し、チヂミには「×」をつけていた。しかし、担任教諭は、その一覧表を確認せずにチヂミを渡してしまった。

約30分後、女児は「気持ちが悪い」と訴えた。担任はアレルギー症状の改善薬が入った注射を打とうとしたが、女児は嫌がった。校長の判断で注射を打ったときには、約10分が経過しており、もう間に合わなかった。女児は搬送先の病院で息を引き取った。

3カ月前にも

同校では、3カ月前にも食物アレルギーによる事故があった。9月27日、卵アレルギーがある1年生の男児が、オムレツを食べた直後にせき込み、鼻水を垂らした。このときは、異変を察した担任教諭が病院で点滴治療などを受けさせ、結果的に軽症だった。

男児は、自宅からオムレツに代わるおかずを持ってきていたが、調理担当者が誤ってオムレツを配ったようだった。男児の事故後、再発防止のため、学校側は全教員を対象にアレルギーの研修会を実施。その席には、死亡した女児の担任教諭も出席していた。

それなのに発生した女児の死亡事故。1月7日に開かれた保護者説明会では教員らの認識の甘さを非難する声が相次いだ。

「なぜ教訓が生かされなかったのか」

症状は千差万別

食物アレルギーを学校側に届けている児童、生徒の数は多い。調布市教委によると、今年度、小学校293人、中学校134人の計427人。アレルギーを発症して救急搬送されたのは昨年11月末現在、富士見台小1年の男児を含め3件だった。

子供の食物アレルギーに詳しい千葉大学大学院医学研究院の河野陽一教授(小児免疫)は「アレルギー症状は千差万別で、同じ児童、生徒でも症状が出るかどうかはその日の体調で異なる。地道な情報収集が欠かせない」と指摘する。

市教委は今年1月、食物アレルギーの専門医らによる検証委員会を設置。新年度からはアレルギー教育を実施することも検討する。


【用語解説】

アナフィラキシーショック

特定の食物や麻酔薬、ハチの毒などが体内に取り込まれた際に起きる急性のアレルギー反応。

全身の発疹や血圧低下、呼吸不全など複数の臓器に同時に症状が出るのが特徴で、重症になれば生死に関わるケースが多い。文科省の調査によると、平成16年時点で食物アレルギー疾患を持つ小中高生は、全体の2.6%にあたる約33万人で、アナフィラキシーは0.14%


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産経新聞記事より

日本人の3割が患っているともいわれるアレルギー性鼻炎だが、通院中の患者の約8割が、鼻づまりの症状に対し治療薬の効果を感じていないことがサノフィ(東京都新宿区)の調査で分かった。

調査は、アレルギー性鼻炎の患者を診察する医師300人、16歳以上の通院患者1千人に実施した。それによると、患者の92%が「鼻づまりの症状で困っている」と回答。具体的には「十分な睡眠がとれない」(82%)、「仕事・勉強・家事に集中できない」(74%)などが挙がった。

一方、使用中の治療薬の効果については「鼻づまりの症状がすっきりとれる」と答えた患者は22%。約4割の患者は「鼻づまりがあっても治療は変わらないと思った」などの理由から、診察時に鼻づまりの症状について医師に伝えていなかった。

山王病院(港区)耳鼻咽喉科医師の倉島一浩さんは「過去の経験から、治療に期待を持てなくなっていることや治療に対する不信感、諦め感があると考えられる」としたうえで、「医師が積極的に患者に聞き取りを行い、満足度を向上させる治療に取り組むことが重要だ」と話している。


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読売新聞より

食物アレルギーのある子どもの給食について、山口県内の市町の対応にばらつきがあることがわかった。

給食後、子どもにアレルギー症状が出た事故を教訓に対策を講じて対応している自治体がある一方で、給食を提供していない自治体もある。専門家は「リスクはあっても、できる対応をとるべきだ」と指摘している。

給食のアレルギー対応を巡っては、昨年12月に東京都調布市の小学校でチーズにアレルギーのある5年女児が給食の後に死亡する事故が発生。県内でも2011年度以降、児童が救急搬送されるなどの事故が少なくとも4件起きた。

県教委によると、食物アレルギーのある子どもは、05年度に小学生の1・7%、中学生の1・6%だったが、11年度には小学生2・4%、中学生2・7%に増加している。こうした子への給食対応としては、乳製品や小麦粉などの原因食材を除く「除去食」と、魚が原因の場合に肉を提供するなどの「代替食」がある。

読売新聞が県内全19市町教委に取材したところ、対応していたのは15市町だった。このうち、萩市は「除去食は必ず作り、可能であれば代替食も提供する」とした。周防大島町も「添加物にも反応する子は弁当を持参してもらい、それ以外は除去食を作る」態勢を整えていた。

13市町は「設備が整った新しい給食センターだけが対応している」(周南市)などと、学校によって対応が異なっていた。

一方、光、柳井市、和木、田布施町は、

▽調理施設が狭く除去食などを作るスペースがない
▽職員が少なく対応できない
▽保護者の要望がない

――などの理由で対応していなかった。

除去食などを提供する場合、誤食の危険性が生じる。事故が起きた山口市と萩市では、代替食の食器に対象児童の名前を記したり、原因食材が混ざらないように対象児童の給食をつくる専属調理員を置いたりするなどの対策を取って対応している。萩市教委は「全員で給食を食べる時間を大切にしたい」とする。

一方、給食対応しない学校では、アレルギーのある子どもたちは自分で原因となる食材を取り除いたり、弁当を持参したりする。

食物アレルギーに詳しい昭和大医学部の今井孝成講師は「給食を提供しなければ事故は起きないが、周囲と同じ食事ができないことは、子どもにとって大きなストレス」と指摘。「『対応できない』と門前払いせず、できる対応について保護者と話し合うべきだ。症状が発症する危険性が高いピーナツや甲殻類を給食に出さないという方法もある」としている。

中2の長男にアレルギーがある長門市の女性(40)は「危険を冒して給食を希望することを、疑問に思う人がいるかもしれないが、自分だけ同じものが食べられないつらさを理解してほしい」と願う。


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産経新聞より

ヒューマンエラーを前提に危機管理必要

東京都調布市立小学校で昨年末、乳製品にアレルギーのある小学5年の女児=当時(11)=が給食で誤ってチーズ入りチヂミを食べ、アナフィラキシーショックとみられる症状を起こし、死亡した。食物アレルギーのある小中学生は約15万人といわれ、多くの学校が給食で除去食対応を行っている。
事故を繰り返さないためにどうすればいいのだろうか。

献立に問題

同市教育委員会によると、女児は乳製品に食物アレルギーがあるため、給食は乳製品を除去したものが提供されていた。亡くなった日の給食の献立は「わかめごはん、じゃがいものチヂミ、ナムル、肉団子汁」。じゃがいものチヂミにチーズが入っており、これを食べ、アナフィラキシー症状を起こしたとみられる。本来の給食では女児用にチーズが除去されたチヂミが用意されたが、おかわり用のチヂミを食べたことが事故につながった。

関係者によると、女児は乳製品のアレルギーについて理解していたという。その女児がなぜ、アレルギーの原因食材であるチーズを口にしたのか。事故の経過を見ると、おかわり用のチヂミを女児に渡した担任教諭も、食べた女児も、チーズが入っていたことに気づいていなかった可能性が高い。

国立病院機構相模原病院臨床研究センター・アレルギー性疾患研究部の海老沢元宏部長は「普通はチヂミにチーズは入れない。今回、チヂミの生地に粉チーズが練り込まれていたが、普通は入れない食材を見えない形で入れることは誤食につながる」と指摘し、ヒューマンエラーが起きることを前提にした危機管理対策の必要性を説く。

今回の事故では女児が「気持ちが悪い」と訴えた後の対応のまずさも指摘されている。女児はアナフィラキシーショックの症状を抑える自己注射薬「エピペン」を携帯しており、担任は女児に「これ打つのか」と尋ねたが、「打たないで」と言われ、ためらった。

エピペンは症状が出てからなるべく早い時間に打つ必要があるが、駆けつけた校長が注射したのはその約10分後。ただ、「エピペンは患者自身が打つもので、医師でない人が打つのは難しい。女児も担任も当初は誤食に気づいていなかったことが対応の遅れにつながったのだろう」と海老沢部長。

今後、同様のことが起きた場合、エピペンはためらわず打った方がいい。エピペンはアドレナリンを投与するもので、万一、不必要に打った場合でも副作用は頭痛や嘔吐(おうと)など軽症で一過性で済むという。

対応学んで

今回、養護教諭が、自力で立てない女児を背負ってトイレまで連れていったのも問題だ。

アナフィラキシーショックを起こしているとき、背負ったり座らせたりした姿勢で動かすのはやってはいけない。あおむけに寝かせるなど安静にして救急車を待つのが望ましい。

日本学校保健会は食物アレルギーによるアナフィラキシーの対応マニュアルを作成、教育委員会などを通じて各学校に配布することになっている。ただ、自治体や学校ごとで活用状況は異なり、全ての先生がマニュアルに沿った対応ができないのが現状だ。

海老沢部長は「知ってほしいのは食物アレルギーを持っている人は誰でもアナフィラキシーを発現する可能性があるということ。子供たちの命を守るため、学校関係者はアレルギーについて正しく理解し、危機管理をしっかりしてほしい」と話している。


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