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毎日新聞より
代替物質から新たな原因 「総量規制」厳格化、求める意見も
なるほドリ 厚生労働省(こうせいろうどうしょう)が、シックハウスの原因になる化学物質の規制(きせい)を強化するそうだね。シックハウスって最近、あまり聞かなかったけど、今でもあるの?
記者 まず、シックハウスについて簡単におさらいしましょう。家や建物などの建材や家具から化学物質が揮発(きはつ)すると、室内の空気が汚染され、頭痛や体のだるさなどを引き起こします。これを「シックハウス症候群(しょうこうぐん)」といいます。こうした症状を防ぐため、厚労省はホルムアルデヒドなどの化学物質が室内の空気に含まれる濃度(のうど)に「指針値(ししんち)」を決めました。
Q 指針値を決めるとシックハウスは減るの?
A 指針値は「空気中の化学物質の濃度がこれ以下なら普通は大丈夫」という目安のようなもの。化学物質を使わないよう強制するわけではありません。でも指針値ができた後、国はホルムアルデヒドを含む建材の使用を制限するなど、さまざまな対策をとりました。その結果、以前のように「目がチカチカする」ような建物は、ほぼなくなったのです。
Q だったらどうして、今になって規制を強化するの?
A 指針値を定めた化学物質は、ホルムアルデヒドのほかトルエン、キシレンなど13物質だけです。建築業界は、13物質をなるべく使わないようにしてきましたが、代わりに使われるようになった別の
物質の中に、新たにシックハウスの原因となるものが出ているのです。
Q ふーん。
A 最近は「シックハウスじゃないか」と疑っても、13物質の濃度が低いという理由で業者に「心配ない」と言われ、シックハウスを否定されることが増えているそうです。
Q じゃあどうすればいいのかな。
A 厚労省は、新たに問題を起こしている化学物質は何かを議論する有識者(ゆうしきしゃ)会議を
始めました。ここでの議論を踏まえ、これまで指針値がなかった物質にも、必要に応じて指針値を決めていく考えです。
Q でも、新しい指針値ができたら、業者はそれ以外の化学物質を使うようになって、また別のシックハウスが生まれるんじゃない?
A 「いたちごっこ」に陥らないために、一つ一つの化学物質に対してではなく、全体の濃度を抑える「総量(そうりょう)規制」の考えを強化すべきだ、と指摘する有識者もいます。日本建築学会などは
独自に総量(TVOC)規準値(きじゅんち)を公表しています。こうしたことも話し合ってほしいですね。
NPO法人 シックハウス診断士協会
広島事務局:〒730-0856 広島市中区河原町5-3-2F
東京本部:〒108-0073 東京都港区三田2-1-41-1F
東京事務局:〒103-0012 中央区日本橋堀留町1-11-5-2F
電話番号 082-961-5271 FAX番号 082-961-5272
ご相談 & お問い合わせメールアドレス
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毎日新聞より
厚生労働省は、シックハウス症候群の原因となる化学物質の規制強化の検討を始める。現在は13の化学物質に室内濃度の指針値を設けているが、対象を増やす方針だ。28日からの有識者検討会で議論する。
シックハウス症候群は、建材や家具から揮発した化学物質で頭痛やのどの痛みなどを起こす疾患。厚労省は対策のため、室内の空気1立方メートル当たりの濃度指針値をホルムアルデヒド0・1ミリグラム▽トルエン0・26ミリグラム▽キシレン0・87ミリグラム−−などと定めている。
関係者によると、今回は床材や接着剤に含まれる「2エチル1ヘキサノール」や水性塗料に含まれる「テキサノール」などが検討対象に挙がる見込み。13の化学物質以外の使用が進み、新改築した
建物で体調を崩すケースが新たに報告されているためだ。
対象物質の見直しは02年以来10年ぶり。指針値自体に強制力はないものの、建築基準法の建材規制や住宅性能評価の根拠、新築校舎引き渡しの基準として活用され、建築業界が対象物質を使わない対策を進めるなど一定の効果を上げている。
【関連サイト】
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第11回千葉大学予防医学センター 市民講座「シックハウス症候群の現在」 の資料です。
詳しくはこちらをご覧ください。
⇒ シックハウス症候群の現在 (財団法人日本顕微鏡院 瀬戸 博)
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NPO法人シックハウス診断士協会監修
「シックハウス診断士補(二級)」の
受験テキストです。
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毎日新聞より
規制外の物質でシックハウスに 住宅認証制度作り利用促進へ
シックハウス症候群などの予防のため化学物質の少ない街づくりを目指そうと、千葉大学と住宅関連企業が共同で実証実験に取り組んできた「ケミレスタウン・プロジェクト」。
プロジェクトの参加団体によるNPO法人「ケミレスタウン推進協会」は6月、実験結果をもとに、化学物質の室内濃度に関する規準値「ケミレス規準」を発表した。企業やNPOの手で今後、規準が有効活用されることが望まれる。
プロジェクトは07年度から5年間、千葉大キャンパス(千葉県柏市)内の約3000平方メートルの敷地内に実験棟を建てて実施された。東京都内で開かれた報告会で、プロジェクトを主導した森千里・千葉大予防医学センター長は、今回ケミレス規準を作った意義をこう強調した。
「シックハウス症候群の患者は、今も発生し続けている。予防するには、室内に存在するさまざまな
揮発性有機化合物(VOC)を『全体として』少なくすることが大切だ」
シックハウスを予防する目安として、国は化学物質の室内濃度に関する「指針値」を設けているが、
対象物質はホルムアルデヒドなど13物質に限られる。最近、これらの物質を指針値以下に抑えて
建てたはずの住宅で、代わりに使った別の化学物質によってシックハウスが引き起こされるケース
が目立っている。
特定の化学物質を規制しても、別の物質でシックハウスが発生する「いたちごっこ」。これを避けるには、種類に関係なく化学物質の全体量を抑えることが大切だ。森センター長ら専門家の間に、こうした認識が広がっている。
だが、国はVOCの総量、総揮発性有機化合物(TVOC)については暫定目標値を定めるにとどめており、建設業界などでもほとんど使われていないのが実態だ。
推進協会が作ったケミレス規準は「A規準」と「S規準」の2段階。
A規準はTVOCについて「空気1立方メートルあたり400マイクログラム以下」と定めた。「シックハウスをある程度予防できる濃度」との位置づけだ。
A規準よりさらに厳しいS規準は「化学物質に敏感な人でもある程度シックハウスを予防できる濃度」として、TVOCを「250マイクログラム以下」とした。推進協会は「学校などの公共施設は化学物質に敏感な人も利用するので、S規準を使うのが適当」としている。
健常なボランティア131人に、敷地内の実験室で15分間過ごしてもらい、身体への影響を調べたところ、TVOC濃度が低ければ低いほど、頭痛や鼻水、のどの痛みなどの身体症状を訴える人が少なかった。
また、化学物質に敏感な人の7割はA規準を超える400〜500マイクログラムの部屋で症状が出たが、S規準の部屋では2割弱と大幅に減ったという。
共同研究に参加した企業の一つ、積水ハウス(本社・大阪市)は五つの化学物質について、濃度を
国の指針値の2分の1以下に抑えた住宅「エアキス」を販売している。「目標の空気環境を実現するにはどの建材がどれだけ使えるか」など、住宅の設計の指針を作るにあたってケミレスタウンでの実証実験結果を取り入れている。同社総合住宅研究所の松下和彦主任は「実験室を飛び出し、実際の住宅の規模で検証ができ、対策の必要性を分かりやすく社会に伝えられる点でプロジェクトに参画した意義は大きい」と語る。
ケミレス規準は今後、NPO法人「日本健康住宅協会」に引き継がれ、規準をクリアした住宅の認証制度を作り、社会で利用してもらうことを目指す考えだ。
大人より胎児に影響深刻
シックハウス症候群や化学物質過敏症を診断する際の問診票として使われている「クイージ」(QEESI)テストを考案した米テキサス大学医学部のクラウディア・ミラー教授は、ケミレスタウンについて「コミュニティーのあり方として、素晴らしいビジョンを示した」と評価した。
昨年ケミレスタウンを視察したミラー教授は「一度重いシックハウスになると、元に戻すのは非常に難しい。しかも、どんな人がかかりやすい体質なのかは医師でも分からないので、予防が何より重要だ」と呼びかける。
ミラー教授が特に懸念するのは胎児への影響だ。「妊娠初期の1カ月は神経系統の発達の始まる時期で、化学物質の影響を最も受けやすい。シックハウスを起こすような室内化学物質の濃度は、神経系統の成長の発達過程に大きな影響を与える可能性も考えられる。大人への影響よりずっと深刻だ」という。
ミラー教授は「(妊娠が判明する前後の)初期1カ月が、最も子どもに影響があると思われる。妊娠を考えている女性は、妊娠に気付く前から自宅の室内空気環境に注意してほしい」と訴える。また、赤ちゃんを迎える準備のため、妊娠中に新しい家や家具を買ったり改修したりすることは、場合によっては妊婦や胎児を多量の化学物質にさらしてしまいかねないため「美観より材質や換気設備に注意を払ってほしい」とアドバイスしている。
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産経新聞記事より
事務所の改装で有害物質が発生するペンキを室内に塗り換気対策も不十分だったため、シックハウス症候群にかかったとして滋賀県の女性が21日、改装した近鉄ホテルシステムズ(大阪市)などに対し計約1200万円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こした。
訴えによると、同社は平成21年6月、運営するホテル内の部屋を改装、京都洛東ライオンズクラブ(京都市)に事務所として貸した。同クラブの事務局員だった女性はその後、事務所で仕事中に吐き気などの体調不良を感じ、改善を求めたが空気清浄器が置かれるなどの対応だけだった。
女性は22年6月にはシックハウス症候群と診断され、細かい作業ができないなどの後遺症が生じたと主張している。近鉄ホテルシステムズは「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。
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