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シックライフ・シックハウス症候群・化学物質過敏症・アレルギーなどに関する事柄について事務局よりお届けいたします。
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朝日新聞より

改装した部屋や新しい家具、芳香剤のにおい――。こうしたものに接すると、目がちかちかしたり、頭痛がしたりする。その場を離れると症状が軽くなるなら「シックハウス症候群」かもしれない。こじらせる前に対処が必要だ。

建材や家具、日用品には様々な有害物質が使われ、一部が蒸発して室内の空気を汚す。先月、埼玉や千葉の浄水場で基準値を超えて問題となったホルムアルデヒドは有害物質の代表格。接着剤や衣類、たばこの煙にも含まれており、気体になると低濃度でも目やのどに強い刺激を与える。

このほか、洗浄剤や塗料に使われるトルエン、油性マーカーや芳香剤に含まれるキシレンなどがあり、頭痛や吐き気、脱力感を引き起こす。こうした症状がシックハウス症候群と呼ばれる。自宅や職場の改装、新しい日用品の購入を契機に発症することが多い。


シックハウス症候群はなぜ起きるのか、詳細はまだ解明されていない。北里大学名誉教授の相澤好治さん(衛生学)によると、中毒やアレルギーとは異なる病気とされ、患者には中年の女性やもともとアレルギーがある人が多い。「診断方法も確立しておらず、症状や環境から推測しているのが現状」と指摘する。診察に時間がかかることもあり、専門の医師が少ないという。

予防策としては、症状を引き起こす物質を避けることが一番だ。可能なら発生源を取り除き、より安全なものに換える。建材や家具が発生源なら暖房などで室温を上げ、原因物質を強制的に放散させる方法もある。これから改築・改装を予定しているなら、工務店や設計者に材料選びの希望を伝えておくことが肝心だ。

ただ、症状に気づいても発生源を特定できないケースも多い。症状が気になれば、こまめな換気や活性炭入りマスクの着用を心がけることも必要だ。運動や入浴も効果的だ。
 

シックハウス症候群は発生源から離れれば症状が回復するのが特徴だ。ただ、悪化すると、洗剤やヘアワックス、印刷物などのにおいで体調を崩してしまう「化学物質過敏症」になる危険もある。

岩手県内の小学校では2010年、校舎の改修中に集団発生した。19人がシックハウス症候群と診断され、一部の児童は化学物質過敏症に進行した。治療した盛岡病院呼吸器・アレルギー科医師の水城まさみさんは「症状が悪化する前に対処することが必要だった」と話す。

化学物質による頭痛や脱力感の急性症状には、タチオンなどの解毒剤や15~30分ほどの酸素吸引が有効。アレルギー症状を伴うなら抗アレルギー薬も選択肢だという。


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宮部みゆきさんシリーズは結構読んでいますが、先日ようやく読み終えたのが「名もなき毒」。


実はこの小説の中でシックハウス症候群という言葉が使われているので以前から読んでみたかったんですよね  本


ということで小説からシックハウス症候群が使われている文章を抜粋してみました(以下です)。


「お気になさらないでください。子供さんのことなら、心配なのは当然です」黒井次長は顔を上げたが、瞳の中心はまだ、どこかにある娘の病室へと向いている。


「喘息なんですよ。」今朝方でかい発作を起こしまして救急車で病院に搬送されたのだが、空きベッドがないとかでほうぼうへ回され、やっと落ち着き先が見つかったというのだ。


私は時計を見た。午前十時を過ぎたところだ。


「まったく、何でこんなことになったのか」頭を振って、黒井次長は言った。

「ご存知ですか、シックハウス症候群とかいう、そのわけわからんシロモノを」 


私は目を瞠った(みはった)。


ここでこの話題にぶつかるとは。


知っていた。知らいでか。

「実は我が家はその話で持ちきりです」私は正直に答えた。


黒井次長の細い目がぐっと広がった。

「じゃ、お宅でも子供さんが具合が悪くなってるとか?」

「いえ、幸いそういうことではないんです。中古住宅を買ってリフォームをしてまして、家内がひどく神経を尖らせているんです」


黒井次長は両手をテーブルに乗せると、深々とうなずいた。


「そりゃいいですよ。気をつけた方がいい。うちももっと注意してりゃよかったんですが」


そして話してくれたのだった。

昨年秋に社宅を出て、横浜市内に念願のマイホームを得たこと。一般的な間取りの二階家で、県内では名の通った業者の建売住宅だったこと。


「一生に一度の買い物ですからね。私も家内も、それなりに勉強して、知識も持っていたつもりでした。だからシックハウス症候群についても、まるで知らなかったわけじゃない。新聞でもニュースでも取り上げてましたしね。ただ、やっぱりどこか他人事でね。ちゃんとした住宅業者の物件なら。こっちがそんなことまで心配しなくてもいいだろうと思ってたんですが」


住宅用の建材や塗料、壁紙の接着剤などに含まれている化学物質が人体に悪影響を与え、アレルギー性皮膚炎や喘息、頭痛など、さまざまな疾病を引き起こす。

簡単に言うならば、それがシックハウス症候群だ。

「こういうことがあるんだって騒がれ始めて、もう四、五年にはなりますか?最近は規制が厳しくなって、おかげで下火になったと思ってたんですけどね」

実際、新規の建売住宅や分譲マンションにからみ、この問題大きく取り沙汰されることは少なくなったと私は思う。単にマスコミの関心が薄れ、報道される事案が減っただけだということはないだろう。


都内のある小学校が老朽化した校舎を改装したら、学童のあいだにシックハウス症候群が発生し、全面的な再改装をすることになったというニュースを見たのは、一年ばかり前だったろうか。

あの時も、「あのシックハウス症候群は、住宅だけの問題ではない」という取り上げ方をされていた。公共の建築物についても規制と監督を厳しくするべきだ、と。


「次長のお宅の場合は、原因がはっきりしているんですか?」やや婉曲な言い方で、私は尋ねた。


いきなり、業者がインチキや手抜きをしていたのか、とは訊きにくかったからだ。
 

「それがね、よくわからんのです」黒井次長は眉を寄せて真実、辛そうな顔をした。


「こっちはてっきり、業者がウソをついてたんだろうと思ってね。責め立てましたよ。ところが検査すると、引っかかってきそうな化学物質の数値は、みんな基準以下なんです。ただ、黴が出てる。黴の胞子が。それが娘の喘息の素だろうと。他には考えられないというんですよ。」

室内の空気中に含まれる黴の胞子や埃、いわゆるハウスダストは、確かにアレルギー症状の原因となる。

が、これのみを指してシックハウス症候群とは呼ばないだろう。

「平均より、飛び抜けて黴の量が多いわけですか」と、私は訊いた。


「こういうものの平均値があるかどうか知いませんが・・・」

「そんなのは私も知りませんよ」黒井次長は苦笑した。 


「業者だって知りゃしないんじゃありませんか。ただ、うちの場合、壁紙がカビてる とか結露がひどいとか、そういう状態ではないんです。少なくとも、目に見える場所はね。だから家内は、見えない土台のどっかに水が滲みてて、それが黴を呼んでるんじゃないかって疑っています。」


業者は否定しているという。

「それまで元気だった子供が、引っ越した途端に喘息が出たわけですから、家内にしたら、こりゃもう家が原因だとしか思えないんですね。あなた、これこそがシックハウス症候群ってものなのよ、と。でまぁ、本を読み漁ったりネットで調べたり、講演会を聞きに行ったりして、猛烈なにわか勉強をしてましてね、これが始まってからもう一年近くになりますが、今じゃ業者が太刀打ちできないくらい詳しくなってます。」


この一年のあいだに、検査会社が三社入ったそうだ。最初の一社は住宅販売会社が呼び、費用も負担してくれたが、あとの二社は黒井家の自腹である。


「それでも黴しか出ないんですが」「会社によってバラつきがあるんです。ホルムなんとかかんとかという。」黒井次長は苦笑した。


「何度聞いても覚えられないんですがね、なんかそんな化学物質が出たこともありました。でも、問題になるほどの量じゃない。それに、これは普通、喘息を引き起こす物質じゃないとかいう。家内はそれを聞いてヒステリーを起こす。そのあいだも娘はしょっちゅう発作を起こすので、いやもうたまりません。」 


救急車を呼んだのは今回で二度目で、最初のときも入院したそうだ。


「中二です。ぐずぐずしてるとすぐ受験期でしょう。だからなおさら家内は躍起になってるんですよ。」 

実は小児喘息があった子でしてね、と続けた。


「幼稚園のころです。でも学校にあがると症状が消えたんで、それっきり気にもしなくて」「しかし今度の喘息は、それとは違うでしょう。」


とは思うんですよ。こっちはね。

だけど業者の方は、もともと子供さんに喘息の気があったなら、普通の人間よりアレルゲンに過敏である可能性がある、うちとしては、定められた基準値をクリアしている以上、そこまでは面倒みきれないと、 業者としては、そう言いたくなるのもわかる。


「家内は裁判を起こす」と言い出してます。私はそこまでやらんでも言い淀んでから、とにかく娘が元気になってくれりゃ、それでいいんですと言い足した。


「杉村さんのところのリフォームは、マンションですか一戸建てですか」私の方に話題を振り向けてきた。

「一戸建てです。家内も私も家の造りが気に入ったんですが、前の持ち主が絨毯が好きだったのか、そこらじゅうに敷いたり貼ったりしてありまして。階段やトイレの床まで」


「そりゃまた手間だ」


ひと目見て、「これこそダニの巣窟だわ」と、私の妻、杉村菜穂子は叫んだものである。

ダニがうごめいてる音が聞こえてきそうだわ!「で、さあリフォームだとなったら、うちの家内もにわか勉強を」

「そうそう」黒井次長は嬉しそうにくつくつと喉で笑った。


言い得て妙な表現だ。

さあ大変だ、やることがいっぱいあるぞ、備えあれば憂いなしだと腕まくりをする・・・台風が近づくと、私の祖父も父も、いつもそんなふうにやたら張り切った。台風がやってくることを楽しんでいるようにさえ見えたものだった。


<言われてみれば、今の菜穂子のハイテンションは、あれとそっくりだ。


「近頃じゃ、私が聞き取れないような難しい塗料の成分や化学薬品の名前をぺらぺらと」 

「言うでしょう?ね、言うんですよ。言い並べるんです。女が化学に弱いというのは、ありゃ間違った通説ですね。考えてみりゃ、女性はみんな化粧品に詳しいんですから。何でそんなことを知ってるんだというくらいよく知ってますからね。化学がわからんはずはない。」 


壁紙の接着剤や床の艶出し剤と、乳液や美容液を一緒にするわけにはいくまいが、一理ある。こうして話しこんでいるうちに、テープがいっぱいになってしまったというわけだ。


以上がメインでシックハウス症候群という言葉が出てきた文章になります。


ここで思ったのが、書いてあることはほぼ実話に基づいてですね。


正直、この手の話はよくあります。というか主流かも・・・ 


取りあえず、気になっていた小説が読めてよかったです  やったー



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熊本日日新聞より

新築やリフォームした家の入居者などに、頭痛や目まいなどの症状が出るシックハウス症候群。建材などに含まれる化学物質に対しての法規制は強化されたが、規制の対象外となっている代替物質の登場もあり、被害は続いている。14日、熊本市医師会館で開かれたシックハウス症候群研究の第一人者である坂部貢・東海大医学部教授の講演を機に、現状を探った。

化学物質は建材や家具の接着剤や防腐剤、塗料として幅広く使われている。シックハウス症候群は1990年代に全国で問題化し、国土交通省は2003年の建築基準法改正で、揮発性有機化合物のホルムアルデヒドを含む建材の使用を規制。厚生労働省も、ホルムアルデヒドやトルエンなど13の物質について、室内濃度の指針値を設定している。

ただ、熊本市生活衛生課によると、04~10年度にも年平均約17件のシックハウス症候群に関する相談があり、本年度は11件。同課は「基準を超えたホルムアルデヒドの検出は減少傾向だが、新たに買ったたんすやベッドなどを置いた部屋で気分が悪くなるケースがある」と言う。

講演で、北里研究所病院(東京)でシックハウス症候群の研究・治療を続けてきた坂部教授は「規制された物質の使用は少なくなる一方で、さまざまな代替物質が開発・使用され、室内の化学物質濃度の総量が高くなっている場合もある」と現状を紹介。「一つずつ規制するのは困難で、化学物質の総量を規制する必要がある」と指摘した。

さらに「規制対象の物質の室内濃度が低くても、個人によって症状が出る場合がある」とし、新築やリフォームの際、異常を感じたら「入居を避け、弁護士などに相談する」と助言。工務店と協議して新築した住宅を取り壊した例もあるという。安全な材料で家を建てるため業者を選ぶ必要性を強調した。

「人体が取り込む物質のうち、室内の空気は約6割を占める。食物の7%、飲料の8%などと比べ高い。化学物質を含む建材が増えた一方、住宅の気密性が高まっており、普段から十分換気することが必要」とも話した。

講演会を企画した「健康くまもと21推進市民会議」の上田厚・代表世話人=熊本大名誉教授=は約20年前から、シックハウス症候群に悩む市民らの相談に応じてきた。「症状は個人差が大きく、苦しみを周囲の人に理解されず孤立し、心にまでダメージを負った人もいる。問題を多くの人に理解してほしい」と上田代表世話人。

講演会に参加したシックハウス症候群の予防・改善に取り組むNPO「シグナルキャッチ」(佐賀市)の鹿児島ひとみ代表は「診断体制は十分でなく、他の病気と診断された人もいる。熊本にも潜在的な患者が多くいるのではないか」とみる。

同NPOは、相談対応や情報提供に取り組み、信頼できる複数の工務店も紹介。鹿児島代表は「家を建てる場合はしっかり勉強し、環境への意識が高い工務店を選んで、安全な家づくりを、じっくり話し合ってほしい。殺虫剤や芳香剤も症候群の原因となる場合もあり、生活の見直しも必要」と話した。


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大阪日日新聞より

家を買って後悔している人の多くが「シックハウス・コンクリートストレス・断熱・結露・音」の五重苦を
抱えて悩んでいます。

一重苦=シックハウス

新築やリフォームした家に入居後、体のだるさ、耳鳴り、めまい、動悸(どうき)、不眠、皮膚炎が治まらないといった症状が続く。ひどい場合は寝込んでしまい、日常生活すら送れなくなり、その家には
住めなくなるという事例が数多く報告され、訴訟にまで発展しています。

シックハウスの原因はホルムアルデヒド、キシレン、トルエンなど、建材に使われている十数種類も
ある石油系のVOC(揮発性有機化合物)です。これらは室内にじわじわと発散し空気を汚染していきます。新築の家に入った時、頭痛や目がチカチカしたりツンとした臭いがすることがありますが、正体は建材に含まれている様々な化学物質で健康を損なう危険なものです。

シックハウスはよほどひどい症状にならない限り、普通の疲れや体調不良と区別しにくく気づきにくい病気です。同じ環境に住んでいても症状が出ない人もいるため、「わが家はシックハウスなのかもしれない」と疑いだすのが遅れてしまうのです。塾生にもこの苦しみを抱えて対応策を学んでいる人がいます。

二重苦=コンクリートストレス

木と打ちっぱなしのコンクリートに囲まれている空間は、どちらが快適ですかと問えば、ほとんどの人が木の方が快適と答えるでしょう。コンクリートは命が通ったものではないので、生物である人間には馴染(なじ)まないのです。このようなコンクリートの人間に及ぼす悪影響をコンクリートストレスといいます。

宿命だといわれている結露やコンクリートの持つ「冷たさ」です。下半身が冷え、全身にまで寒さが
這(は)いあがってきます。これは、コンクリートの「冷輻射(ふくしゃ)」という現象が原因です。

コンクリートは木の14倍も熱を伝えやすい性質を持っているので、冬は外の寒さがコンクリートを通して室内に伝わり、体の底から体温を奪っていきます。体の内部から冷やされると、体温が下がり免疫力が弱り自律神経が失調して、ホルモン系も変調をきたし消化不良や血流も悪くなります。

また、がん細胞は急速に増殖し特に女性のがんに影響を与えます。若い女性の冷え性や、平熱が35度台しかない低体温の人が増えていますが、鉄筋コンクリート造りのマンションやオフィスビルの
増加と無関係ではないと感じます。

                   釜中 明(NPO後悔しない家造り  ネットワーク「いい家塾」塾長)


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日本経済新聞より

「シックハウス症候群」の人は、家にいると目が痛くなったり気分が悪くなったりする。70種類にものぼるとされる化学物質が体に異変を引き起こすからだ。国の規制対象外の物質もたくさん潜み、症状を悪化させているようだ。冬場でも定期的に窓を開けて換気することが大事だ。

千葉大学柏の葉キャンパスに建設された一般的なモデル住宅。予防医学センターの戸高恵美子准教授は足を踏み入れた途端に違和感を覚えた。空気から「クロロエタン」が検出された。出所は電気式の床暖房の断熱材だった。ガス式の床暖房からは「ペンタン」が発生していることも分かった。

厚生労働省はシックハウス症候群対策として、ホルムアルデヒドやトルエンなど13種類の化学物質について室内濃度の指針値を決めている。今回、床暖房から見つかったクロロエタンやペンタンは、
ここに含まれていない。

住宅内に潜む「規制外物質」の健康リスクが高まっている。千葉大予防医学センター長の森千里教授らは、建売住宅から約70種類の物質を検出。家具や家電製品の購入しだいでは、さらに増える
可能性もあるとみる。

天然成分が悪さも

室内の化学物質に関しては、厚労省が総量目標を設定する。1立方メートル当たり400マイクロ(マイクロは100万分の1)グラムまでで、13物質の総量で下回っても、他の物質を加味すると超えるケースが出てくる。

東京都健康安全研究センターと千葉大の研究では、新築住宅で防腐剤「ジクロロメタン」、樹脂系接着剤「メチルシクロヘキサン」などが2千マイクログラム以上検出された。木材から発生する天然成分も高濃度に検出され、人体に悪さを働く可能性がある。

400マイクログラムという総量目標が、化学物質に敏感な人には高いという見方もある。森教授は特定非営利活動法人(NPO法人)ケミレスタウン推進協会を通じて、化学物質に敏感な人がシックハウス症候群を防ぐには、250マイクログラム以下に抑えるべきだとの目標値を11月に提示。市民からの意見を募っている。

自分の体質を知る

住宅内の化学物質をゼロにできれば理想だが、そう簡単にはいかない。リスク低減に向けた予防の第一歩は、自分が化学物質に対して敏感かどうかを知ることだ。森教授は「ケミレス必要度テスト」を開発。グーグルなどの検索エンジンで調べればすぐに引き出せ、試すことができる。

テストは漂白剤や衣料用洗剤などを使った際に、どの程度の異変が起きたかを「0」~「10」までの11段階で評価する。「1と2の違いを気にする必要はなく、直感で数字を選んでほしい」と森教授は助言する。

ひどい症状を出さないようにするために大切なのが部屋の換気だ。シックハウス症候群の患者を多数診てきた東海大学医学部の坂部貢教授は換気扇の上手な利用のほかに「定期的に窓を開けることが必要」と訴える。マンションの上層階に住む人は、ドアを開けて空気を入れ替えたい。

接着剤などから蒸発する化学物質の量は、気温が高くなると増える。冬場だからといって油断するのはよくない。高気密の住宅が室内に化学物質を蓄え、燃焼式ファンヒーターが空気を汚す。寒くても
定期的に窓を開けるよう心がけよう。

換気のほかには、家具や家電製品も慎重に選びたい。接着剤の使用などを抑えた製品を選ぶのは大事だが、まとめ買いを控えることも重要だ。食器棚や本棚などをまとめて買えば、どれが発生源か分からなくなる。シックハウス症候群は、自身が影響を受けている発生源を取り除けば症状が治まるので、発生源を特定できる状況にしておく。

これから住宅を購入したり賃貸契約したりする人は、下見に行った際に、目やのどが痛くならないか、意識することも重要。賃貸物件で違和感を覚えたら、「不動産会社に以前住んでいた人の引っ越し
理由をたずねるのは一つの手」と坂部教授は助言する。

シックハウス症候群を引き金に、化学物質への過敏性が慢性化し、化学物質過敏症になる人も少なくない。こうなると車の排ガスなど日常生活の様々なシーンで影響を受けて、生活が不便になる。しっかりと予防を心がけていく必要がある。



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